研究課題
1) H24年度に行った後向きコホート研究結果をもとに「色素内視鏡併用下で腺口形態所見及びNarrow Band Imagingによる微細血管所見による鋸歯状ポリープ診断に関する第二相試験」を多施設共同試験として6月より開始した.鋸歯状ポリープ120例を目標に症例をリクルートしており,現在約60例の登録がある.これにより鋸歯状腺腫に特徴的内視鏡所見を探索することをエンドポイントとしている.2) 本研究について説明・同意がえられた大腸ポリープ患者のうち,内視鏡的に鋸歯状病変を疑い,かつ6mm以上病変から内視鏡下生検により組織サンプル採取を行った114病変86症例について臨床病理学的所見及び分子生物学的所見と内視鏡所見との関連について解析している.現時点での解析結果について述べる.大腸鋸歯状病変には,組織学的に過形成性ポリープ,鋸歯状腺腫に分けられが,その内視鏡的鑑別はしばしば困難である.類似の内視鏡所見を示す大腸鋸歯状ポリープにおける分子生物学的検討では,BRAF変異の頻度については有意な差は認められなかったが,CIMPについては右側大腸病変で有意に高率であった.今回の結果から右側大腸の鋸歯状病変は左側病変に比べCIMP陽性大腸癌の前癌病変である可能性が考えられた.さらに,25年度末から鋸歯状ポリープのうち鋸歯状腺腫(sessile serrated adenoma/polyp, SSA/P)と過形成性ポリープ(hyperplastic polyp, HP)についてアレイ解析も開始した.これまでの研究結果からHP,特にMVHPからSSA/Pへ進展する可能性があり,この進展にかかわる新規遺伝子異常を調査するのが目的である.なお,これら分子生物学的解析については当大学のゲノムに関する倫理委員会の承認をえて解析を進めている.
2: おおむね順調に進展している
現時点での進行状況としてはほぼ予定通りと思われる.ただ,色素内視鏡併用下で腺口形態所見及びNarrow Band Imagingによる微細血管所見による鋸歯状ポリープ診断に関する前向き第二相試験の症例集積が予定より少し遅れているように思われる.
今後は,試験担当医師が積極的に症例のリクルートを進めていく.さらに,可能であれば新規参加施設についても検討したい.
ほぼ計画通り研究費を使用したが,少額であるが次年度使用金が発生した.一部実験試薬購入を次年度購入とした.次年度は複数の研究が同時に進行する予定であり消耗品費を十分な研究資金を必要である.
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消化器内視鏡
巻: 25 ページ: 1262-1263
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