研究課題
1)H25年6月より開始した「大腸鋸歯状病変における内視鏡所見と臨床病理学的特徴に関する前向き多施設共同試験」であるが鋸歯状ポリープ120例の目標症例数の登録が終了し,現在内視鏡切除標本に対する病理所見の中央診断レビューが進行中ある.病理診断レビューが終了次第最終解析に入る予定である.本試験は,鋸歯状腺腫に特徴的内視鏡所見を探索することをエンドポイントとしている.2)本研究について説明・同意がえられた大腸ポリープ患者のうち,内視鏡的に鋸歯状病変を疑い,かつ6mm以上病変から内視鏡下生検により組織サンプル採取を行った114病変86症例について臨床病理学的所見及び分子生物学的所見と内視鏡所見との関連について解析を行い,解析結果を国際学会で公表しH26年8月に論文にて最終解析結果を報告した(Endoscopy International Open 2014;02:E171).解析結果から,内視鏡的に工藤分類II型腺口形態を示す大腸鋸歯状病変では右側と左側大腸病変において異なる分子生物学的特徴を有し,右側大腸のMVHPからSSA/Pを介しCIMP陽性大腸癌へと発育・進展する可能性が推定された.さらに,25年度末から鋸歯状ポリープのうち鋸歯状腺腫(sessile serrated adenoma/polyp, SSA/P)と過形成性ポリープ(hyperplastic polyp, HP)についてDNAメチル化に関するアレイ解析も開始した.これまでの研究結果からHP,特に Microveiscular HP (MVHP)からSSA/Pへ進展する可能性があり,この進展にかかわる新規遺伝子異常を調査するのが目的である.今回SSA/PとMVHPを各3病変抽出しMCAMを行い,SSA/Pに発現の強い候補遺伝子をリストした.H27年度は鋸歯状病変サンプルを用いてvalidation studyを行い,有意な遺伝子について機能解析を進めていく予定である.なお,これら分子生物学的解析については当大学のゲノムに関する倫理委員会の承認をえて解析を進めている.
2: おおむね順調に進展している
現時点での進行状況としてはほぼ予定通りと思われる.「大腸鋸歯状病変における内視鏡所見と臨床病理学的特徴に関する前向き多施設共同試験」では病理中央判定が予定より少し遅れているように思われる.一方,SSA/P関連の新規遺伝子探索のプロジェックトでは候補遺伝子についてのvalidation studyを早急に進めていきたい.
大腸鋸歯状病変に関する臨床研究では,臨床担当医と病理担当医師が連携して積極的に病理中央判定を進めていく.また,SSA/P関連の新規遺伝子探索のプロジェックトでは候補遺伝子を効率よく抽出し遺伝子解析を行う.
研究成果発表のための旅費及び実験試薬での使用を予定していた.しかし,分子生物学的研究の進行状況が少し遅れたため次年度での使用とした.
本年度に研究成果発表を予定している.また,分子生物学的研究プロジェクトも着実に進行しておりその領域で実験試薬等で使用する予定である.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件)
Endoscopy International Open
巻: 02 ページ: E171-177
10.1055/s-0034-1377518
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e103822
10.1371/journal.pone.0103822
Showa Univ J Med
巻: 26 ページ: 39-45