26年度は以下の成果を得た。 (1)腎動脈内からカテーテルを介して神経電気刺激を行うと、左右いずれの腎動脈においても同等の血圧上昇が生じた。血中カテコラミンと心拍変動から求めた交感神経緊張(LF/HF)の上昇程度も左右同等であった。(2)一側の腎動脈内からイリゲーションカテーテルを用いて高周波通電を行った。高周波通電を行った腎動脈内から神経電気刺激を行うと、高周波通電前に観察された血圧上昇反応は消失・抑制され、血中カテコラミンと心拍変動指数(LF/HF)の上昇も抑制された。しかし高周波通電を行わなかった対側からの神経電気刺激では、ベースラインと同程度の昇圧反応が確認され、血中カテコラミンと心拍変動指数(LF/HF)の上昇程度もベースラインと同等であった。(3)高周波カテーテルアブレーションの通電出力によって、焼灼後の神経電気刺激の反応が異なることを確認した。すなわち20W以上の通電では神経電気刺激による昇圧反応はほぼ完全に抑制されたが、15W通電では昇圧反応が残存した。(4)組織学的な検討において以下を確認した。すなわち高周波通電を行った腎動脈では、血管中膜・外膜に分布する神経線維の染色がコントロール側に比して低下し、焼灼によって神経線維の機能修飾が成された結果と解された。 これらの結果から高血圧治療のための腎動脈カテーテルアブレーションは両側腎動脈に施行する必要があると考えられるが、適切で安全な通電方法とエネルギー設定については今後さらに研究を進める必要がある。
|