研究課題
本研究の1番目の目的は特発性不整脈症候群症例を集積して遺伝的背景とこれに関連した臨床像を明らかにし、不整脈発作の予知とリスク層別化に用いることである。様々な不整脈に罹患した1228症例を国内外より集積し、心臓ナトリウムチャネル遺伝子であるSCN5Aの遺伝子発現を調節しているプロモーター領域ならびにプロモーター機能を修飾する非翻訳領域の遺伝子スクリーニングを行った。Brugada症候群、早期再分極症候群、特発性心室細動、洞不全症候群、房室ブロックならびに心房細動の各々の疾患に罹患した症例においてSCN5Aプロモーターの変異を同定した。また同定した変異はプロモーター活性の低下をもたらしていた。本研究の2番目の目的は、次世代シークエンス法を応用して不整脈症候群の新たな遺伝的背景を明らかにして不整脈の機序を検討すると共に、遺伝子検索の新たな手法を構築することである。次世代シークエンス法を用いて同時に約550種の遺伝子をスクリーニングできるアッセイを新たに構築し、新たな不整脈の原因遺伝子候補を多数同定した。すなわち、若年性の重症型QT延長症候群やカテコラミン感受性多形性心室頻拍の原因遺伝子を同定し、論文発表を行った(Circ Arrhythmia 2014)。さらに特発性心室細動の新しい原因遺伝子を同定し、現在培養細胞を用いた機能解析を行っている。たこつぼ型心筋症に伴うQT延長症候群を来す新たな遺伝子変異も同定した。また、次世代シークエンス法を用いた国際的なゲノム関連研究を行い、Brugada症候群に関係する新たな遺伝子を解明した(Nature Genetics 2013)。本研究の3番目の目的は特発性不整脈症候群の遺伝子型と臨床的特徴に応じた個別化治療を確立することであるが、本研究で行われた遺伝子解析の結果はすでに個々の症例に還元されており、原因遺伝子を考慮した薬物療法や生活指導といった不整脈発作予防が行われている。
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