研究課題/領域番号 |
24591039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
西田 邦洋 富山大学, 大学病院, 助教 (40591631)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 心房細動 / アンジオテンシン / ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ / 心房リモデリング |
研究概要 |
ビーグル犬8頭を①placebo群と②irbesartan群の2群に分け、各薬剤の投与下で毎分400回の心房高頻度刺激を4週間施行した。試験期間中は経時的に心臓電気生理検査および心臓超音波検査の指標を測定した。4週間の心房高頻度刺激により、左室機能は両群で同等に低下した(左室拡張末期径LVDd はplacebo群で31.5 mm、irbesartan群で27.8 mm、p=NS、に拡張、左室駆出分画LVEFはplacebo群で24.3%、irbesartan群で23.7%、p=NS、へと低下)。Placebo群で見られた心房細動持続時間の延長は、irbesartan群では抑制された(心房細動持続時間、placebo群で26.3±11.0 s、irbesartan群で1.6 0.9 s、P=0.02)。心房細動誘発率の上昇はirbesartanによってやや抑制される傾向があったが、placeboと比較して有意な差はなかった(心房細動誘発率、placebo群で20.0±2.0% vs. irbesartan群で70.0±3.6%、P=0.08)。心房不応期の短縮は両群で同等であった。Irbesartanは心房高頻度刺激心房高頻度刺激モデルにおいて心房細動持続時間の延長を抑制した。心房有効不応期などの電気生理学的指標への影響はplaceboと差がなかったことから、おそらく線維化などの心房の構造的リモデリングを抑制し心房細動持続時間を短縮した可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画では2年間で32頭のin vivo実験の完了が予定されており、前述のごとく現時点では1年間で8頭の実験が完了している。進行状況は当初の計画のペースをやや下回るものの、全体の研究計画の完了には支障のない範囲と考える。
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今後の研究の推進方策 |
Irbesartanは心房高頻度刺激心房高頻度刺激モデルにおいて心房細動持続時間の延長を抑制した。心房有効不応期などの電気生理学的指標への影響はplaceboと差がなかったことから、おそらく線維化などの心房の構造的リモデリングを抑制し心房細動持続時間を短縮した可能性が示唆される。しかし実験個体数は十分ではないため、実験を継続し十分な個体数で検討する必要がある。心房線維化の組織学的な評価も未実施であり十分な検体数がそろった時点で実施する予定である。上記の検討ののちに分子生物学的検討を行い、心房細動リモデリングの細胞内伝達機序や薬剤の詳細な作用機序を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、追加のin vivo実験のための実験動物および備品の購入費用として用いられる。In vivo実験が速やかに進行した場合には、分子生物学的検討に用いる試薬等の消耗品の購入費用にも用いられる。
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