研究実績の概要 |
発作性心房細動(PAF)例のHolter心電図を用いたQT/RR関係の解析をAF時のRR間隔を1心拍毎、10心拍の平均 RR間隔、modified RR 間隔を用いた 3法で比較したところ、10心拍平均のQT/RR関係が洞調律復帰後のQT/RR関係を最もよく反映していた。一方、AF中1心拍毎のQT/RR関係はAFの持続による変動を認め、QT/RR関係のslopeはAF発作0-1時間より4-5時間で減少、洞調律に復帰後0-1時間より4-5時間で増大しこの傾向はQT延長をきたす抗不整脈薬投与例で顕著となった。PAF例ではAF持続によりQTが短縮するが洞調律復帰後は徐々にQT延長し、薬剤性QT延長によるtorsade des pointes (TdP)に関与することが示されこの結果は論文発表した。薬剤性QT延長症候群のAF症例のHolter心電図でLQT2と同様のQT/RR slopeの増大を認め遺伝子解析でKCNE1遺伝子の単一塩基多型(SNP) G38Sが認められ、QT延長を認め(SNP) G38Sを有する洞調律調律例でHolter心電図を用いQT/RR関係を解析した。その結果、既に論文発表した基礎実験の結果と同様、LQT2に類似した徐脈時に増強するQTの延長をきたしTdPのリスクがあることが示唆され本研究の結果は論文に投稿中である。さらに持続性心房細動の15例を対象に皿群抗不整脈薬の投薬前後でHolter心電図でのQT/RR 関係(10心拍平均を解析し、Ⅲ群薬投与前後でQT/RR slopeが0.05以上増大し、かつⅢ群薬投与後に0.2以上に増大した8例で遺伝子解析を施行した。その結果、KCNH2をはじめとするLQTSの原因遺伝子の異常は認められなかったが、前述のKCNE1遺伝子のSNP (G38S:1例, D85N:1例)が認められ、本研究の結果は論文投稿予定である。
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