研究課題/領域番号 |
24591046
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平敷 安希博 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10418741)
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研究分担者 |
坂東 泰子(暮石泰子) 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60452190)
竹下 享典 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70444403)
室原 豊明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90299503)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心筋症 |
研究実績の概要 |
研究の目的は、拡張型ならびに肥大型心筋症において、予後予測因子である運動耐容能と心筋病理の観点から明らかにすることである。運動耐容能は、心収縮予備能との関連が強いことにより、心筋病理における繊維化、遺伝子発現との関連が推測されるが、これまで運動耐容能を心筋病理の観点より検討した報告は、ほとんど無い。本研究は、運度耐容能と心筋病理との関連を明らかにし、心筋症における運動時心機能の病態解明を目指している。 2014年度は,これまで報告してきた心筋症の臨床研究をさらに発展させて論文として報告した。拡張型心筋症において,心臓MRIによる左室心筋繊維化と心肺運動負荷試験(CPX)による運動耐容能の指標を組み合わせた病態評価は独立した予後予測になることを報告した。本研究により,非侵襲的検査による画像と機能の組み合わせで,将来発症する心イベントの予測を可能とすることを示した。また、右心系の血行動態にも注目し新たな予後予測指標を示した。肺高血圧症(平均肺動脈圧≧25mmHg)を合併すると拡張型心筋症も非常に予後が悪く,特に心臓死において肺高血圧の合併は独立した予後予測因子となったことを報告した。右心不全疾患である肺動脈性肺高血圧症に対するボセンタンの初期治療効果判定の有用性および慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症との治療との比較をCPXを用いて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文の成果としては、概ね順調に進展していると考える。現在の成果状況としては,研究実績の概要に記した。上記の成果に加え、近日中に現在inpressの論文や,投稿中の論文が報告されることも予定している。上記以外にも運動耐容能の評価による、論文発表にも至った。疾患としては、心筋症のみならず、左心不全、右心不全に対する心機能評価、左ー右の連関についても注目して成果が上がっている。症例数も予想範囲内でコンスタントに増加している。
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今後の研究の推進方策 |
現在,私は,肺高血圧先端医療学寄附講座に籍を移し,肺高血圧症という右室に対する後負荷疾患の症例が,大幅に増加している。心機能,血行動態に関する評価方法としては,新たに右室に対するperformanceや肺動脈圧への介入・評価を加えて,今後の研究の推進方策にしたいと考えている。予後の追跡調査は引き続き行い,予後予測因子の探索は継続する必要がある。肺高血圧症に関しては,心筋生検は倫理的に難しい側面があり,左心系の心筋疾患のみに行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までに症例は着実に蓄積できているものの,症例収集に当初の予定より時間を要している。統計学的な有意差をより明らかにするために,研究開始当初予定した症例数の目標に達するまで研究を継続し統計解析すべきであると考え,計画を見直す必要に迫られた。症例蓄積期間を5ヶ月延長することとし,その後の統計解析もそれにあわせて延期する必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
心筋症における心イベントの出現予測因子を探索するために,患者背景,血液検査所見,血行動態データ,心筋細胞におけるmRNA量に関して,多変量解析を行う。当初平成26年7月で症例の蓄積を終了する予定であったが,平成27年2月まで延長し,症例期間延長による各種書類の作成費用,体制維持費用,mRNA,蛋白抗体費用に使用する。また,平成27年4月以後に国際学会発表の出張費用,論文投稿における英文校閲費用を予定している。
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