研究課題/領域番号 |
24591052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
永瀬 聡 岡山大学, 大学病院, 助教 (50397907)
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研究分担者 |
中村 一文 岡山大学, 大学病院, 講師 (10335630)
森田 宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50322227)
西井 伸洋 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50537214)
草野 研吾 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60314689)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | J波症候群 / Brugada症候群 / 遺伝子解析 / 心臓電気生理検査 / 心臓突然死 |
研究概要 |
心臓電気生理検査では、左室心外膜側・左室心内膜側を含む詳細な心室内多点同時マッピングを行い、異常電位の有無を調べ、J波の局在を検討、特に左室心外膜側電位の記録は冠静脈から逆行性に多極電極を左室心外膜側に挿入して記録し、薬物負荷、ペーシングによる心拍数の変動に対するJ波を含む局所電位の変化を検討。さらに心室細動を誘発しその発生機序に関して心外膜側心筋および心内膜側心筋から同時に電位を記録することにより検討した。心臓MRIでは、シネMRIにて壁運動低下や瘤形成などの形態的異常の有無、左右心室のサイズや機能の評価を行い、ガドリニウム遅延造影の有無により心筋傷害の有無やその部位を検討。遅延造影部位とJ波の局在部や異常電位との関連についても検討した。加算平均心電図では、fQRS、LAS40、RMS40値を測定し、心室遅延電位の有無を検討。心室遅延電位が存在する場合は、その時相の電位が心臓電気生理検査での心室マッピングで記録が可能か検討。遺伝子解析では、一過性外向きKチャネルItoやCaチャネル、Gap junction等これまでに全く報告されていない遺伝子変異の解析を行った。また採取した心筋組織については心筋炎の有無等の通常の解析に加えて、酸化ストレスの亢進やapoptosis等の有無について検討し、さらにウイルスゲノムの有無をPCR法によって同定した。またこれらの検討結果を元に致死的心室性不整脈を発症している患者群と発症していない患者群との相違点を検討し、さらに検討した患者群を前向きにフォローすることにより心室細動出現の予測因子を電気生理学的検討および遺伝子学的検討から判定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心臓電気生理検査は当院での既存の特殊撮影室にて行い、当院では年間150例以上の心臓電気生理学検査を行っており、また当院でのBrugada症候群に対する心臓電気生理検査は既に180例以上、そしてJ波症候群も含めれば200例以上で施行されている。また通常のmolecular biologyに必要な種々の検査、遺伝子解析、遺伝子導入とパッチクランプ法によるチャネル機能解析に必要な器材は概ね準備できている。このため研究を行う環境については十分に整っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
データの蓄積に伴いこれらの研究結果を元に致死的心室性不整脈を発症した患者群と発症していない患者群との相違点を検討し、さらに検討した患者群を前向きにフォローして多形性心室頻拍・心室細動出現の予測因子を電気生理学的にそして遺伝子学的検討から同定する。またJ波症候群における多形性心室頻拍・心室細動発生の機序を解明する。J波の成因として再分極異常説および脱分極異常説がこれまで提唱されており、この観点からもJ波症候群患者を分類し、リスク層別化を検討する。そして無症状のJ波症候群において、植え込み型除細動器が必要と考えられる患者の層別化を試みる。データの解析が進めば学会あるいは論文等での報告を随時行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
心臓電気生理検査は当院での既存の特殊撮影室にて行い、電気生理検査時に使用する心内電位記録用のシステムは既に導入されている。また通常のmolecular biologyに必要な種々の検査、遺伝子解析、遺伝子導入とパッチクランプ法によるチャネル機能解析に必要な器材は概ね準備できている。従って、今回申請する費用は電気生理検査時に使用する電極カテーテルや遺伝子解析の実験試薬などの消耗品、データ解析に必要なソフトで十分である。
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