研究課題/領域番号 |
24591054
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 一文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10335630)
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研究分担者 |
森田 宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50322227)
吉田 賢司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70532761)
伊藤 浩 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90446047)
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キーワード | 心室性不整脈 / HERG電流 / サブクローニング / 心不全 / 血液 |
研究概要 |
心室性不整脈発生には、心筋の不応期のばらつきなど電気的不安定性(electrical instability)が関与する。それには種々のイオンチャネルのリモデリングが影響するが、中でも遅延整流カリウム電流の速い成分(IKr)を構成するKCNH2 (HERG) チャネルは、先天性QT延長症候群・先天性QT短縮症候群ならびに薬剤などによる後天性QT延長症候群の原因チャネルであり最も感受性の強い標的分子の一つである。 近年我々は、循環血液中の抗KCNH2 (HERG) チャネル抗体がその電流を減弱させる自己免疫性QT延長症候群の存在を発見し報告した (Nakamura and Katayama et al. J Am Coll Cardiol. 2007)。続いて心不全患者においても、循環血液中にKCNH2 (HERG) チャネル修飾因子がないか検索したところ、興味深いことに、心室性不整脈を有する心不全患者の血清はHEK293細胞に発現させたKCNH2(HERG)電流を逆に増強させた(Sugiyama & Nakamura et al. PLoS One. 2011)。すなわちKCNH2(HERG)電流活性化因子を循環血液中に認めた。心室性不整脈のない心不全患者では認めないことから、この因子が電気的不安定性を誘導し、不整脈発生に関与する可能性が考えられる。 心室性不整脈を有する心不全患者血液中のKCNH2(HERG)電流活性化因子を同定を目的として、血清中KCNH2(HERG)結合タンパクの抽出を試みた。そのためTag付KCNH2(HERG)の作成をおこなった。pcDNA3.1-V5-His (invitrogen) にpcDNA3-HERG由来のHERGをサブクローニングで組み込み、pcDNA3.1-HERG-V5-Hisを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KCNH2(HERG)-V5-beads複合体の形成をこころみているが、うまくいっていない。その原因を究明中。
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今後の研究の推進方策 |
KCNH2)HERG-V5-beads複合体の形成:pcDNA3.1-HERG-V5-HisをHEK293にtransfectionで導入し、HERG-V5を産生するCHAPSを使用しHERG-V5を可溶化する。V5 tagged protein purification kit (MBL)を使用し、HERG-V5-beads複合体を形成させる。この時点で、beadsをPBSで洗浄しHERG-V5以外のタンパクを除去する。 KCNH2(HERG)結合タンパクの免疫沈降:前述のHERG-V5-beads複合体に患者由来血清(Sugiyama, Nakamura et al. PLoS One 2011)を加え十分混和する。その後beadsを洗浄することでHERG-V5に結合したタンパク以外を除去する。この時点でV5 tagged protein purification kit (MBL)内のV5タンパクを使用しHERG結合タンパクおよびHERG-V5タンパクを回収する。 KCNH2(HERG)結合タンパクの検出:回収したHERG結合タンパクをSDS-PAGEで電気泳動し、銀染色もしくはCBB染色で泳動したタンパクを可視化する。病歴上VT/VFの有無で差が認められるバンドに目的とするHERG結合タンパクが存在することとなる。
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