研究課題
基盤研究(C)
肥満者では、動脈周囲の肥大化した脂肪組織に由来する血管の成長因子(VEGF)と炎症性物質が動脈外膜側から血管壁に侵入して粥状硬化を進めるとされている。成熟脂肪細胞において、抗動脈硬化作用のあるバルサルタンで1型アンジオテンシンⅡ受容体の基礎活性を抑制すると、インターロイキン-6(炎症性)の産生分泌が減り、アディポネクチン(抗炎症性)のそれが増加した。一方、やはり抗動脈硬化作用のあるエイコサペントエン酸はG蛋白共役受容体120と核内受容体PPAR-γとの統合的機序を介してVEGFの分泌をむしろ増加させた。以上の知見は動脈周囲脂肪組織内の他の細胞の振る舞いを包括する機序解明の一助となる。
循環器内科学