研究課題/領域番号 |
24591058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸 拓弥 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423514)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 循環器・高血圧 / 生理学 / 脳・神経 |
研究概要 |
平成24年度は、本研究の目的で3年計画の初年度目標として掲げた「慢性心不全モデルラットの脳延髄交感神経中枢におけるアストロサイトの評価」を行った。慢性心不全モデル動物として、冠動脈結紮による心筋梗塞心不全ラットを用い、心エコーおよび心内圧測定で著明な左室収縮力低下と拡大に加え左室内圧の上昇を確認し、慢性心不全状態であることを確認した。また、その際に尿中カテコールアミン排泄量が上昇していることを確認し、交感神経活動が賦活化していることも確認した。その状態で脳内のアストロサイトを免疫染色で確認し、正常ラットに比し脳延髄交感神経中枢において有意にアストロサイトが減少していること、その機序としてcaspase-3によるapoptosisの亢進が関与していることも確認できた。一方で、神経細胞の減少は認められなかった。この結果は、急性心筋梗塞による慢性心不全において、脳延髄交感神経中枢の神経細胞ではなくアストロサイトがアポトーシスにより減少することを示している。したがって、研究予定通りに、平成25年度は自家アストロサイト移植により減少したアストロサイトを増やすことで慢性心不全に対し交感神経抑制を介して左室リモデリングの抑制が可能かどうかを確認する。 また、「脳スライス標本を用いた脳延髄交感神経中枢の神経活動に対するアストロサイトの影響」については現在脳スライス標本実験の準備を行っている段階であり、平成25年度に引き続き行う予定である。自家神経幹細胞から選択的分化培養による自家アストロサイト作成はin vitroでは成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、本研究3年計画の初年度であり、目標として掲げたのは「慢性心不全モデルラットの脳延髄交感神経中枢におけるアストロサイトの評価」と「脳スライス標本を用いた脳延髄交感神経中枢の神経活動に対するアストロサイトの影響」である。両者とも予定通りに進行しており、「2 おおむね順調に進展している」と評価した。 慢性心不全モデル動物として、冠動脈結紮による心筋梗塞心不全ラットを用い、心エコーおよび心内圧測定で著明な左室収縮力低下と拡大に加え左室内圧の上昇を確認し、慢性心不全状態であることを確認した。また、その際に尿中カテコールアミン排泄量が上昇していることを確認し、交感神経活動が賦活化していることも確認した。その状態で脳内のアストロサイトを免疫染色で確認し、正常ラットに比し脳延髄交感神経中枢において有意にアストロサイトが減少していること、その機序としてcaspase-3によるapoptosisの亢進が関与していることも確認できた。一方で、神経細胞の減少は認められなかった。この結果は、急性心筋梗塞による慢性心不全において、脳延髄交感神経中枢の神経細胞ではなくアストロサイトがアポトーシスにより減少することを示している。 また、「脳スライス標本を用いた脳延髄交感神経中枢の神経活動に対するアストロサイトの影響」については現在脳スライス標本実験の準備を行っている段階であり、平成25年度に引き続き行う予定である。自家神経幹細胞から選択的分化培養による自家アストロサイト作成はin vitroでは成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究期間3年のうち初年度に掲げた目的は、おおむね順調に進展している。計画での2年目および3年目にあたる平成25年度および26年度について、「慢性心不全モデルラットに対する脳延髄交感神経活動中枢へのアストロサイト自家移植の心不全・交感神経活動・生命予後改善への効果を検討」および「改変アストロサイト移植を用いたアポトーシスの原因・心不全への効果の機序解明」を計画している。 平成25年度については、「慢性心不全モデルラットに対する脳延髄交感神経活動中枢へのアストロサイト自家移植の心不全・交感神経活動・生命予後改善への効果を検討」の目的において、すでにアストロサイト自家移植に必要な技術および設備は整っており、予定通り遂行する。また、「改変アストロサイト移植を用いたアポトーシスの原因・心不全への効果の機序解明」においては、アストロサイトのアンジオテンシン受容体のみノックダウンしたCre-Loxマウスの作成を現在行っており、これについても予定通り実験を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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