研究課題/領域番号 |
24591058
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸 拓弥 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423514)
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キーワード | 循環器・高血圧 / 生理学 / 脳・神経 |
研究概要 |
平成25年度は、本研究の目的で3年計画の2年度以降の目標として掲げた「慢性心不全モデルラットに対する脳延髄交感神経活動中枢へのアストロサイト自家移植の心不全・交感神経活動・生命予後改善への効果を検討」および「改変アストロサイト移植を用いたアポトーシスの原因・心不全への効果の機序解明」の実験を開始した。平成24年度に、脳延髄交感神経中枢の神経細胞ではなくアストロサイトがアポトー処すにより減少することを示しており、自家神経幹細胞から選択的分化培養による自家アストロサイト作成も行ったため、実際に冠動脈結紮による心筋梗塞心不全モデルラットの脳延髄交感神経中枢に自家アストロサイトを注入し、予後および尿中カテコールアミンによる交感神経評価を行った。結果は、交感神経の大幅な低下と、生命予後の改善を認め、28日後の左室拡張末期圧も低下していた。この結果は、脳延髄交感神経中枢におけるアストロサイトが心不全の生命予後に関わる発症進展に極めて重要な役割を果たしていることを示すものと考えている。引き続き、平成26年度には改変アストロサイトの検討を行うために、現在はその作成を行っている。また、脳スライス標本を用いた脳延髄交感神経中枢の神経活動に対するアストロサイトの影響」については、平成25年度中には安定した神経活動の記録ができるに至らなかったため、この実験も引き続き平成26年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、本研究3年計画の2年度であり、2年度および3年度の目標として掲げたのは「慢性心不全モデルラットに対する脳延髄交感神経活動中枢へのアストロサイト自家移植の心不全・交感神経活動・生命予後改善への効果を検討」および「改変アストロサイト移植を用いたアポトーシスの原因・心不全への効果の機序解明」である。 「慢性心不全モデルラットに対する脳延髄交感神経活動中枢へのアストロサイト自家移植の心不全・交感神経活動・生命予後改善への効果を検討」は、自家神経幹細胞から選択的分化培養による自家アストロサイト作成を行ったのちに、実際に冠動脈結紮による心筋梗塞心不全モデルラットの脳延髄交感神経中枢に自家アストロサイトを注入し、予後および尿中カテコールアミンによる交感神経評価を行った。結果は、交感神経の大幅な低下と、生命予後の改善を認め、28日後の左室拡張末期圧も低下していた。この結果は、脳延髄交感神経中枢におけるアストロサイトが心不全の生命予後に関わる発症進展に極めて重要な役割を果たしていることを示すものと考えている。「改変アストロサイト移植を用いたアポトーシスの原因・心不全への効果の機序解明」も現在すでに改変アストロサイトの作成に着手していることから、予定通りに進行していて、「②おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究期間3年のうち2年度に掲げた目的は、おおむね順調に進展している。計画での3年目で最終年度にあたる平成26年度は、「改変アストロサイト移植を用いたアポトーシスの原因・心不全への効果の機序解明」として、現在着手している改変アストロサイト作成を引き続き行い、完成後は心筋梗塞後心不全モデルラットの脳延髄交感神経中枢への移植を行い、アポトーシスに抵抗性のアストロサイトであれば予後が改善するのか、あるいはアポトーシスを起こしやすいアストロサイトを正常ラットに移植すれば心不全になりやすいのか、を検討する予定である。さらに、現在すでに完成しているCre-Lox Pシステムを用いたアストロサイト選択的アンジオテンシンII受容体ノックアウトマウスによる検討も行う予定である。また、初年度および2年度で結果が得られていない「脳スライス標本を用いた脳延髄交感神経中枢の神経活動に対するアストロサイトの影響」については、平成25年度中には安定した神経活動の記録ができるに至らなかったため、この実験も引き続き平成26年度に行う予定である。
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