研究課題/領域番号 |
24591061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山部 浩茂 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (20419641)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 心房細動 |
研究概要 |
持続性心房細動が肺静脈隔離のみで停止しない機序を明らかにするため、持続性心房細動における肺静脈隔離前後の左心房内興奮伝播をEnSite 3000 Non-contact Mapping Systemを用いて解析した。また、発作性心房細動との差異についても検討した。肺静脈隔離前には、発作性心房細動、持続性心房細動共に、Complex fractionated atrial electrogram (CFAE)領域における、Meanderingする興奮波と局所からの巣状興奮により心房細動が維持されていた。肺静脈隔離後は、発作性心房細動、持続性心房細動共にCFAE領域は有意に減少したが、残存するCFAE領域は、発作性心房細動に比べ持続性心房細動で有意に広く、この残存するCFAE領域上での頻回なWave break、Wave fusion、Pivoting activationを繰り返し細動が維持されていた。発作性心房細動ではほとんどの症例が肺静脈隔離のみで停止したのに対し(83.7%)、持続性心房細動では肺静脈隔離のみでの停止は困難で、左心房天蓋部に対する線状焼灼およびCFAE領域に対する高周波通電の追加により70.8%で細動の停止が認められた。以上より持続性心房細動の肺静脈隔離後の細動興奮波の持続は、残存したCFAE領域での頻回に認めるWave break、Wave fusion、Pivoting activationにより維持されていることが示された。また肺静脈隔離後のCFAE領域に対する追加焼灼により高率に持続性心房細動の停止が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
持続性心房細動においては、肺静脈隔離後もComplex fractionated atrial electrogram (CFAE)領域が残存し、このCFAE領域上での頻回なWave break、Wave fusion、Pivoting activationを繰り返し細動が維持されていることが明らかにされた。このCFAE領域に対する追加通電により持続性心房細動の停止が高率に認められることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、持続性心房細動中のEnsite 3000, Non-contact Electroanatomical Mapping System を用いた興奮波の伝播解析と左心房電位の周波数解析を同時に行い、CFAE 領域でのHighest dominant frequency を呈する部位が細動興奮波の維持にどのような役割を果たしているのかを検討する。また、今後の研究としてGanglionated Plexiが心房細動維持に関与しているかどうかを検討する。持続性心房細動中にGanglionated Plexiに対する高頻度刺激を行い、細動興奮波の興奮伝播がどのように変化するかどうかについて検討を行う。この心房高頻度刺激を行うために必要なカーディアックスティムレータ SEC-5104を購入する。
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次年度の研究費の使用計画 |
持続性心房細動においてGanglionated Plexiが細動興奮波の維持にどのように関与しているかを明らかにするために、Ganglionated Plexiに対する高頻度刺激を行えるカーディアックスティムレータ SEC-5104を購入する。
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