研究課題/領域番号 |
24591067
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
平田 久美子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10382152)
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研究分担者 |
今西 敏雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 研究員 (00285389)
赤阪 隆史 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70322584)
折居 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70508986)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 冠循環の改善 |
研究実績の概要 |
エリスロポエチンは腎性貧血の治療薬であるが、動物実験にて心筋梗塞の梗塞範囲の縮小効果があることが報告されている。本研究では、ヒトの心筋梗塞後に投与することによって、急性期および慢性期に冠動脈血流の改善がみられるかどうか、心筋梗塞の範囲の縮小が認められるかどうかを検討した。急性心筋梗塞40例に対し、心筋梗塞発症日に経静脈的にエリスロポエチンの投与を行ったところ、急性期には、エリスロポエチン投与群と非投与群の間で、冠血流予備能に差はなかったものの、8か月後にはエリスポロエチン投与群において、冠血流予備能の改善が認められた。また、造影MRI検査にて、慢性期の心筋梗塞のサイズには差がなかったものの、心筋梗塞の壁深達度は浅い傾向があった。尚、エリスロポエチンは腎性貧血に投与する場合と同量を単回投与したが、多血症や塞栓症などの合併症も認められなかった。 以上の結果から、心筋梗塞急性期にエリスロポエチンを経静脈的に投与することは冠微小循環を改善させ、心筋梗塞の垂直方向の病変の広がりを抑制する働きがあることが示唆された。心筋梗塞後の心機能の低下から、心不全を発症する可能性が高いことが知られており、心筋梗塞の広がりを抑制し、心不全の発症を未然に防ぐことは、心筋梗塞慢性期の患者のQOLの改善、医療費の抑制にもつながることが期待される。こうした点からも、本研究による医療業界に対する貢献度は高いと考える。こうした結果をまとめ、国際学会で発表を行った。その後、議論を行い、推敲を重ねたのち、論文を執筆し現在投稿中である。
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