研究課題
本研究は、急性冠症候群(ACS)に対する包括的心臓リハビリテーションプログラムが冠動脈プラークの質の安定化に関与影響するかを、血管内超音波、及びOptic Coherence Tomography (OCT)で観察する前向き研究である。すでに我々は先行研究にて、ACSにおける包括的心臓リハビリテーションは冠危険因子の是正に有用で、冠動脈プラークの変化量は、身体活動量と有意な負の相関を認めたことを報告した。今回の研究意義はプラークの質に対する画像診断であるIB-IVUSや OCTを用いて、運動療法介入による冠動脈プラークの質的改善が得られるかを画像診断で示すことである。本年度はACSの診断で冠動脈インターベンションに成功し、IB-IVUSを施行した17例を登録した。平均年齢は60±11歳、男性は15名であった。11例がST上昇型心筋梗塞症例であり、標的病変は左前下行枝が13例、右冠状動脈が4例であった。冠危険因子に関しては、高血圧症が10名、脂質異常症が17名、糖尿病が6名、喫煙が3名であった。体格指数は24.7±2.9kg/(平方メートル)、中性脂肪値178±91mg/dl、HDL-C値43±9mg/dl、LDL-C値127±42mg/dlで、空腹時血糖値は120±41mg/dl、HbA1c値は6.1±0.8%であった。OCTによる評価も2症例に施行した。運動耐容能に関しては、Peak VO2 16.2±2.7ml/kg/minであり、嫌気性代謝閾値(10.6±1.9ml/kg/min)より、約3メッツの有酸素運動を指示した。現在、予定症例数40例の登録が完了し、20名が積極的運動療法群、残り20名が通常運動療法群として経過観察中である。両群において、年齢、性別、冠危険因子の保有率、左室駆出率に有意差は認めなかった。介入後のIB-IVUSの評価が終了次第解析予定である。
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