研究課題/領域番号 |
24591072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鈴木 洋 昭和大学, 医学部, 教授 (90266106)
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研究分担者 |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 閉塞性動脈硬化症 / エリスロポエチン / 細胞移植 |
研究概要 |
(1)エリスロポエチンによる間葉系幹細胞(MSC)の活性化:本年の研究によりMSCにおけるエリスロポエチン受容体発現を免疫染色で確認した。また、培養系において、エリスロポエチン添加は、MSCの増殖活性を有意に亢進した。増殖活性以外に、リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析では、血管内皮増殖因子・肝細胞増殖因子などの血管新生サイトカインの発現増強を認めた。 (2)下肢虚血モデルへのMSC移植:これまでの報告同様、MSC移植がラット下肢虚血モデルにおいて血管新生を促進することを、生理学的にも組織学的にも確認した。次に、上記培養実験の結果を踏まえ、MSC単独移植とエリスロポエチンによる前処置を加えたMSC移植(エポMSC群)の2群での効果の比較を行った。移植2週後、エポMSC群は、MSC単独群と比べ、有意に虚血肢での血流改善を促進した。両群において、移植細胞の長期生着は見られなかった。今年度の検討において、エリスロポエチンによるpretreatmentは、MSCの向血管新生能・パラクライン効果を向上させることが確認された。今後、更なるメカニズムの検討を行っていく。 (3)ヒトへの臨床試験へむけてのプロトコール作成:カテーテル治療やバイパス手術が不可能な難治性の閉塞性動脈硬化症に帯する治療法として、骨髄間質細胞(間葉系幹細胞)の局所投与の臨床試験を計画しているが、本プロトコールを昭和大学と成育医療センターの倫理委員会に提出し、その後厚生労働省のヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会で審査予定である。 (4)総括:本年の研究で、MSC単独投与あるいはエリスロポエチン前処置MSC投与ともに虚血肢における血流改善に有効であることが明らかとなった。平成25年度以降は臨床応用にむけて研究をすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)基礎動物実験 上記の研究実績の概要で述べたように、本年度の基礎研究において、MSCにおいてエリスロポエチン受容体が発現していることが確認でき、培養MSCにエリスロポエチンを添加することにより、MSCの増殖活性が亢進することが明らかとなった。また、細胞上清でVEGF,HGF,FGF等の濃度が上昇していることも確認し、これらの増殖因子の活性化がMSCの血管新生作用をより増強させていることも考えられた。In vivo実験では、マウスで下肢虚血を作成し、その回復過程をMSC単独移植とエリスロポエチンによる前処置を加えたMSC移植(エポMSC群)の2群での効果の比較を行った。移植2週後、エポMSC群は、MSC単独群と比べ、レーザードップラー有意に虚血肢での血流が改善していたが、両群において、移植細胞の長期生着は見られなかった。しかし、in vivo実験における面積染色やサイトカインや成長因子の測定、アポトーシス関連因子の検討はまだ実験途上である。一方、エリスロポエチン単独を下肢虚血に投与する実験やmesenchymal progenitor cell の関与に関しての実験は今後予定している。 (2)臨床試験(安全性試験) カテーテル治療やバイパス手術が不可能な難治性の閉塞性動脈硬化症に帯する治療法として、骨髄間質細胞(間葉系幹細胞)の局所投与の臨床試験を計画しており、実験計画書は作成済みで平成25年度後半からの、試験の開始にむけて申請を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 昨年度に達成できなかった基礎実験の継続 (2) 臨床試験(安全性試験) 1)対象:閉塞性動脈硬化症のFontaine II以上の患者(年齢20歳以上)で、薬物治療にも反応せずカテーテル治療やバイパス手術が不可能な患者5例。坦癌患者、増殖性網膜症等血管新生治療により原疾患の悪化の可能性があると判断される患者は除外する。 2)方法:①自己細胞の採取:自己骨髄20mlを局所麻酔下に患者の腸骨より採取し、ヘパリン入りPBS溶液に混和する。また、自己末梢血を約200ml採血し、遠心管に入れる。②細胞培養;検体は採取後すみやかに冷蔵し分担研究施設である国立成育医療センター研究所へ搬送する。血液より血清を分離して、血清入りの液体培地を調整する。用いる培地はαMEM (phenol red -)で抗生物質(penicillin, streptomycin)を添加する。間葉系細胞は自己の骨髄液(20mL)と自己の血液(約200mL)からの血清約100mlを用いて、接着系の細胞を培養する事により増殖する。その際EPOを添加して行う。最後に搬送当日に培養細胞をフラスコより剥離しPBSに懸濁させる。以上の培養操作は国立成育医療センター研究所において無菌的に行う。③細胞移植:細胞は治療予定日に昭和大学藤が丘病院に搬送する。細胞は硬膜外麻酔下に患者の下腿のすでに虚血が証明されている箇所に合計約1×10の7乗個の細胞を移植する。虚血の証明は血管造影、血管エコー、CT,皮膚還流圧等で行う。④安全性、有効性の評価:細胞移植7日、1か月、3か月、6ヶ月、1年後に安全性の評価を行い、有害事象の発生をチェックする。有効性はvisual analogue scale (VAS)による自覚症状の評価、生命予後、下肢温存率、下腿上腕血圧比、足趾上腕血圧比、皮膚還流圧等により評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1) 昨年度に達成できなかった基礎実験の継続を行うため、マウス、ELISAキット(VEGF,HGF,FGF等)、分子生物学試薬、免疫染色抗体(TUNEL染色、Caspase染色)、FACS抗体等を購入する。 (2) 臨床試験に関しては、研究計画書作成費用のほか、自己血清分離キット、骨髄穿刺針、皮膚還流圧測定に関する消耗品等の臨床試験に必要な資材を購入する。また、臨床試験に先立ちシミュレーションも行うための費用にも使用する。
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