研究課題/領域番号 |
24591073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 加代子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20246482)
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研究分担者 |
鈴木 敦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00625626)
沢辺 元司 東京医科歯科大学, その他の研究科, 教授 (30196331)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 急性冠症候群 / 接着分子 / 炎症 / 不安定粥腫 / T細胞 / アポトーシス / PSGL-1 / Selectin |
研究概要 |
急性冠症候群(ACS)を来たす責任冠動脈形成におけるCD4 T細胞の役割を解明するため、①急性期に血栓吸引療法を施行したACS患者末梢血および責任冠動脈血、冠動脈病変のないコントロール患者末梢血におけるCD4 T細胞上の接着分子発現をFACSで解析した。ACS患者末梢血CD4 T細胞ではInteglinβ2およびP-selectin glycoprotein ligand-1(PSGL-1)の発現亢進を認めたが、他の接着分子には差は認めなかった。さらに、ACS患者の責任冠動脈血では末梢血よりもCD4 T細胞上のPSGL-1発現が亢進していた 。②Selectin binding assayにより、ACS患者のPSGL-1陽性CD4 T細胞は、E-selectin、P-selectinに結合することが明らかとなった。③血栓吸引療法で得た責任冠動脈の血栓と粥腫、ApoE-/-KOマウス粥腫を免疫染色した結果、多数のPSGL-1陽性CD4 T細胞が血栓および粥腫に浸潤していた。③ PSGL-1陽性CD4 T細胞の責任冠動脈での役割を検討するため、CD4 T細胞と血管内皮細胞を共培養しアポトーシスアッセイを行った。正常コントロールではCD4 T細胞による血管内皮細胞アポトーシスは誘導されなかったが、ACS患者ではアポトーシスが誘導され抗PSGL-1抗体で抑制された。さらに、ACS患者においては、末梢血より責任冠動脈血のPSGL-1陽性CD4 T細胞は、より強くcaspase-3活性の上昇を血管内皮細胞にもたらしアポトーシスを誘導した。 本年度研究で、T細胞浸潤による動脈硬化粥腫進展には接着分子Integlinβ2およびPSGL-1が関与しているが、ACS発症にいたる責任冠動脈の不安定粥腫形成にはCD4 T細胞のPSGL-1/selectinを介したsignalが重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ACS責任冠動脈病変の不安定粥腫におけるCD4 T細胞サブセットとサイトカイン産生、および接着分子発現の検討: 急性冠症候群(ACS)患者および冠動脈病変のないコントロール患者の末梢血と冠動脈血、高脂肪食負荷ApoE-/-KOマウス粥腫におけるCD4 T細胞のフェノタイプと接着分子の検討を計画通り解析した。次年度、T細胞サブセットの検討と安定狭心症、ApoE-/-KOマウスとPSGL-1-/-/ApoE-/-DKOマウスでの検討をすすめる。 2.PSGL-1陽性CD4 T細胞が責任冠動脈へ浸潤する機序の解明: ACS患者の責任病変に対し血栓吸引療法を行って得た血栓と粥腫を研究計画にそって解析した。多数のPSGL-1陽性CD4 T細胞が粥腫と血栓に浸潤していた。ApoE-/-KOマウスに高脂肪食を与え検討した結果においても同様に、粥腫に多数のPSGL-1陽性CD4 T細胞が認められた。また、動脈硬化ACS患者CD4 T細胞はT細胞レセプターを介する刺激でPSGL-1発現が上昇し、E-selectin、P-selectinに結合することを解析した。剖検例、ApoE-/-KOマウスとPSGL-1-/-/ApoE-/-DKOマウスでの検討を行い、PSGL-1陽性CD4 T細胞の責任冠動脈への浸潤機序を明らかにしていく。 3. PSGL-1陽性CD4 T細胞による標的細胞アポトーシス誘導シグナル伝達の検討: 本年度はACS患者におけるPSGL-1陽性CD4 T細胞は標的細胞である血管内皮細胞に、PSGL-1/selectinを介してcaspase-3を活性化しアポトーシスを誘導することを明らかとした。血管平滑筋細胞に対する作用や剖検例、ApoE-/-KOマウスとPSGL-1-/-/ApoE-/-DKOマウスでの検討をさらに進める。
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今後の研究の推進方策 |
本年度研究結果で接着分子PSGL-1およびPSGL-1陽性CD4 T細胞が動脈硬化粥腫進展や粥腫不安定化に重要であることが判明した。H25年度はH24年度研究結果を総括し不十分な点を検討すると伴に、ApoE-/-KOマウス、PSGL-1-/-/ApoE-/-DKOマウスでの動脈硬化進展におけるPSGL-1陽性CD4 T細胞の検討を進める。 PSGL-1発現CD4 T細胞の動脈硬化における役割を検討するため、PSGL-1-/-/ApoE-/-DKOマウスを作製し現在系統維持している。動脈硬化モデルマウスであるApoE-/-KOマウス オスを10週齢、18週齢から普通食および高脂肪食で8週間飼育し、スダン染色、オイルレッド染色で動脈硬化進展を検討する。また、動脈硬化粥腫進展に伴うCD4 T細胞サブセット(INFγ+Th1、IL4+Th2、IL17+Th17、CD25+FoxP3+Treg)の変化を脾臓より単離した単核球をFACSで行い解析する。血清は凍結保存しており、各CD4 T細胞サブセットより産生されるサイトカイン(IL2、IL10、INFγ、TNFα、IL4、IL17)はCBA assayで測定する。またOCT包埋凍結組織は免疫染色を行い浸潤しているCD4 T細胞、CD8 T細胞、マクロファージ、好中球、血小板を検討する。さらに、脾臓より単離したCD4 T細胞よりpoly(A)RNAを作成し、次世代型シーケンサーを用いて広いダイナミックレンジでのtranscriptome analysisを網羅的に行い、PSGL-1/selectin以下のシグナルとCD4 T細胞サブセットの分化誘導、アポトーシスシグナルの関係を詳細に検討する。同様にPSGL-1-/-/ApoE-/-DKOオスマウスを飼育し行う実験結果と、ApoE-/-KOマウス実験で得る結果を詳細に比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は研究遂行に必要な消耗品、物品費、人件費、旅費などに本年同様適切に使用する。 次年度使用額3330円は物品費の一部に充当する。
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