研究課題
平成25年度ではホルター心電計を用いて、実際の患者(心筋梗塞あるいは心筋症患者)で心電学的予知指標の測定を行った。実施施設は、東邦大学医療センター大森病院(担当:分担研究者の阿部敦子氏)、滋賀医科大学付属病院(担当:分担研究者の芦原貴司氏)、および杏林大学医学部付属病院(担当:連携研究者の三輪陽介氏)である。計測した指標は、具体的には心電図上のQRS波終末部の遅延電位(late potentials:LP)の変動、T波の交互性変化(T-wave alternans:TWA)、heart rate turbulence(HRT)、heart rate deceleration capacity(HRDC)であり、これらを同時に計測した。LPは脱分極異常、TWAは再分極異常、HRTとHRDCは自律神経活動異常を反映する指標である。それぞれの施設で得られた各データの集積を現在行っている最中であるが、多くの患者で4つの指標の同時評価が可能であった。各データ間の関連性(相関性)を評価することにも主眼を置いて進めている。若干矛盾的が生じており、これについてはコンピュータシミュレーションを随時行い、その得られた臨床データの妥当性について現在検証している。コンピュータシミュレーション解析は、医療工学に精通している国立循環器病研究センターの分担研究者である中沢一雄氏に行っていただいている。平成26年度においても心電学的予知指標の集計を進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度では、ホルター心電図を用いて心電学的指標(LP、TWA、HRT、HRDC)の実臨床でのデータ集積に主眼をおいていたが、幸いにして順調にデータの集積が行われている。ただ、目標としていた症例数の約80%しか達成していないため、今後もデータ集積を進めていく予定である。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
本研究課題の今後の推進方策としては、平成25年度に十分ではなかった実際の患者での4つの心電学的指標の測定を平成26年度にも続けていく予定である。これまでは主に心筋梗塞後患者において指標を測定してきたが、これを心筋症患者にも広げ、積極的に臨床例でのデータ集積を行っていく。当然のことながら、進行過程で生じた矛盾点や疑問点については、コンピュータシミュレーションで検証する予定である。実臨床のデータとの結果とのすり合わせが必要なため、最終年度に当たる平成26年度では専門的な解析が必要になる。そのため、稲田慎先生(国立循環器病研究センター・研究所・研究情報基盤管理室・特任研究員)を連携研究者として加える予定である。
研究当初から、研究に必要な金額として次年度(平成26年度)分として、直接経費100万円(助成金額130万円から間接経費30万円を除いた金額)を計上していた。前年度に未使用額として約25万があり、これを含めた金額を次年度に使用する予定である。前年度使用予定であった25万を繰り越した理由は、最終年度では臨床データとコンピュータシミュレーションデータのすり合わせが必要となることが判明したため、この金額を連携研究者として新たに加わっていただく稲田 慎氏(国立循環器病研究センター・研究所・研究情報基盤管理室・特任研究員)の使用額(謝金)に充てる予定である。次年度(平成26年度)は最終年度であるため、大きな物品の購入は予定していない。ただ、データ解析のスピードを上げるためパソコン1台の購入を考えている。主な経費の使用目的は得られた研究結果を国内外の学会で発表するための旅費に使用する予定である。欧米の学会での発表を考えており、早急にデータ解析を行い、2つの循環器系国際学会に内容の異なる抄録を提出する予定である。同時に研究結果を公表するため英語論文での執筆を進める。その際には、native English speakerの校閲のための支出が生じる。残りの金額は、消耗品や会議費用に充てる予定である。
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