研究課題
致死的不整脈である心室細動は電気的除細動が唯一有効な治療法だが、除細動後に心室細動再発を繰り返すことがあり心肺蘇生失敗の大きな要因となっている。本研究は心室細動再発における交感神経刺激の役割を解明すべく、ウサギの正常心を用いて、交感神経刺激時の除細動後活動電位持続時間(APD)短縮の分布・ばらつきや時間的推移、Ca2+トランジェント持続時間(CaTD)との差異と心室細動再発との関係を調べた。除細動後、交感神経刺激時のみ不均一なAPD短縮が観察された。さらにCa2+過負荷を加えるとCaTDが延長し、APD短縮部位でのAPD・CaTDの差異が増大し、第3相早期後脱分極から心室細動の再発が観察された。この除細動後のAPD短縮は一般的な抗不整脈薬が有する速活性型遅延整流性K+電流(IKr)の阻害では延長せず、ATP感受性K+電流(IKATP)阻害薬であるグリベンクラミドにより特異的に延長し、また心室細動再発が予防されることを見出した。本研究はランゲンドルフ還流下の実験で心室細動中の心筋還流は維持されており、冠静脈洞流出液の乳酸上昇が見られないことから、このIKATP活性化は虚血によるものではなく、心室細動中の高頻度興奮と交感神経刺激ストレスに伴うものと考えられた。生体位心では心室細動中には必ず虚血を伴うためさらなるIKATP活性化をきたすと思われ、IKATPが除細動後心室細動再発に大きく寄与していることが本研究により示唆された。
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Heart Rhythm
巻: 11 ページ: 697-706
10.1016/j.hrthm.2013.12.032.