研究課題/領域番号 |
24591080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
佐々木 健一郎 久留米大学, 医学部, 講師 (70320190)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 虚血肢組織ダメージ評価 |
研究概要 |
末梢血管病性重症虚血肢へ自家血管内皮前駆細胞を筋注投与する血管新生療法の効果が十分でない原因の一つとして、”虚血組織の劣悪環境が投与細胞の血管新生能力を発揮できなくしている。”という仮説を立てた。その検証実験を行うべく、十分なインフォームドコンセントを実施した上で、通常治療の過程で下肢切断を余儀なくされた患者さんから切断組織を提供して頂き、その虚血組織環境の劣悪状況を(1)採取組織の虚血骨格筋細胞におけるミトコンドリア機能不全状態、(2)血管新生作動物質分泌機能変化、(3)組織内アシルカルニチン濃度変化で評価することとした。 当該研究助成決定後、患者組織採取システムの構築(外科医協力の取り付け交渉や、当大学倫理委員会承認などの公的手続き)に2か月間を要し、さらに研究開始後も当初の予想に反して組織採取機会に恵まれなかったことから、実験実施の遅延を来たした。その問題点を解決するべく、当大学病院以外の関連病院からの組織提供を可能とする別の新たなシステム構築を行った。その結果、その後の2-3ヶ月間に4名の患者から組織提供がなされ、サンプルの収集機会の増加が期待できる環境が整ってきた。 一方、実験(3)のために必要となる至適アシルカルニチンフラクション作製を目的とした予備実験をマウス虚血下肢組織を用いて行った。K2CO3とHClO4混合lysis bufferでホモジナイズした組織サンプルを多数の混合比下に作製し、サンプル内の至適pH濃度を恒常的に獲得する混合比の設定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該研究助成決定後、患者組織採取システムの構築(外科医協力の取り付け交渉や、当大学倫理委員会承認などの公的手続き)に2か月間を要し、さらに研究開始後も当初の予想に反して組織採取機会に恵まれなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
当大学病院以外の関連病院からの組織提供を可能とする別の新たなシステムを構築したことで、サンプルの収集機会の増加が期待できる環境は整ってきている。採取組織中のアシルカルニチン濃度をより正確に測定するために必要な至適アシルカルニチンフラクション作製においては、組織を至適pH内でホモジナイズするためのK2CO3とHClO4最適混合比の獲得に成功しており、採取組織数の増加とともに予定実験の進行速度も上昇してくると思われる。 本研究では倫理上の問題から、比較対照組織となる”健常肢組織”採取を予定していない。患側下肢組織中において比較的健常と考えられる組織を用いて比較検証を行う予定としているが、実際には健常組織をなるべく残すような切断術が実施されており、少数患者組織では対照正常組織との比較検証が困難となる可能性もある。その場合、検証可能な状況まで実験数を重ねることで問題解決に努めてゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24-25年度実施予定実験に必要とされる薬品や器材の購入、実験データの学会/研究会発表旅費等に使用する予定。組織中のアシルカルニチン濃度測定については、外注測定を依頼する可能性もあり、その際は測定費用として計上する。
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