研究課題
心不全は心臓、および骨格筋などの非心臓組織の代謝の変化を伴う。心臓悪液質は重症心不全患者に頻度が高い合併症で、その合併は心不全患者の予後を悪化させる。(1)心臓悪液質モデルに対する分岐鎖アミノ酸の効果:分岐鎖アミノ酸は加齢や癌に伴う悪液質に効果があると報告されている。分岐鎖アミノ酸はインスリン・シグナルの重要な標的分子であるTOR(Target of Rapamycin)を活性化する。本研究課題においては、ダールラット心不全モデルに対する分岐鎖アミノ酸の効果を検討した。ダール食塩感受性ラットに高塩分食を与えると高血圧を発症し、心臓では代償性心肥大を経て心不全を発症し、心臓悪液質を伴い、動物は死亡する。代償性心肥大を呈する11週齢から分岐鎖アミノ酸を投与した。生存率と心機能を持続的に観察し、21週齢においてラットを屠殺し解析した。高塩分食を負荷したダールラットでは心拍数が上昇するが、分岐鎖アミノ酸は心拍数上昇を軽減した。また、分岐鎖アミノ酸は心不全による死亡を抑制し、体重減少を予防した。心臓超音波検査による観察では心不全を呈したラットでは骨格筋においてミトコンドリア機能関連遺伝子の発現低下が見られたが、分岐鎖アミノ酸投与によりその減少は軽減していた。以上により、分岐鎖アミノ酸投与が悪液質を伴う心不全患者の治療法となる可能性が示された。(2)心臓悪液質モデルにおける非心臓組織の代謝変化の計測:ダール食塩感受性ラットに高塩分食を与え、心臓悪液質を呈した時期に、骨格筋および腎臓組織を採取した。心臓悪液質に伴う骨格筋と腎臓の代謝変化をメタボロームを比較することにより解析した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件)
Int J Cardiol.
巻: 187 ページ: 27-28
10.1016/j.ijcard.
PLoS One.
巻: 10 ページ: e0117091
10.1371/journal.pone.0117091
Mol Cell Biol.
巻: 35 ページ: 831-846
10.1128/MCB.01109-14