研究課題/領域番号 |
24591096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南野 哲男 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30379234)
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研究分担者 |
肥後 修一朗 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (00604034)
羽尾 裕之 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40393243)
朝野 仁裕 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60527670)
真田 昌爾 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70593797)
塚本 蔵 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80589151)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / 低酸素 / ジスルフィド結合 |
研究概要 |
A. Ero1 KOマウスの確立と同マウスを用いた病態モデルの作製-Gene trap ESクローンを用いて、Ero1 KOマウスを作製し(ヘテロ8代目誕生)、Ero1KOホモマウスの増殖ならびに動脈硬化モデル(Ero1-/- x ApoE-/-マウス)の作製を開始した。 B. Ero1標的分子の同定-心筋Ero1のS-S架橋下(還元剤なしでサンプル処理)でのバンド位置は低酸素刺激により著しく変化することを見出した。すなわち、正酸素状態ではEro1はジスルフィド結合を介して他分子と結合し、低酸素状態では解離している可能性が示された。興味深いことに、この変化は低酸素刺激特異的である。正酸素状態の腫瘍細胞では、Ero1は小胞体の中でもMAM (mitochondria-associated membrane)領域に存在することが示されており(2008, Cell Stress Chaperones)、小胞体-ミトコンドリア連関との関連が示唆された。そこで、ラット培養心筋細胞を用いて、小胞体内でERO1との結合が既に報告されている分子との結合を検討したが、確認できなかった。次に、小胞体-ミトコンドリア間でカルシウム制御にかかわるIP3Rとの関連を探索したが、確認できなかった。 C. Ero1 KOホモマウスの確立により、ERO1KO心筋細胞を単離・培養し、低酸素刺激による分泌蛋白質ならびに小胞体ストレス応答におけるEro1の役割を検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A. KOマウスを作製し、バッククロスにて、ヘテロ8代目が誕生した。Ero1KOホモマウスを増殖するとともにEro1 KOマウスを用いた病態モデルの作製を開始した。すなわち、Ero1KOホモマウスを用いた心筋梗塞モデル・圧負荷心不全モデルならびに動脈硬化モデル(Ero1-/-xApoE-/-マウス)の作製を開始しており、平成25年度に、様々な病態モデルにおけるERO1の役割を検討する準備が確実に進んでいる。 B. Ero1は小胞体の中でもMAM (mitochondria-associated membrane)領域に存在することが示されており(2008, Cell Stress Chaperones)、小胞体-ミトコンドリア連関との関連が示唆されている。そこで、小胞体内でERO1との結合が報告されている分子との結合を検討したが、心筋細胞を用いた検討では確認できなかった。次に、小胞体-ミトコンドリア間でカルシウム制御にかかわるIP3Rとの関連を探索したが、確認できなかった。現在、新規標的分子が存在することを想定して、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析法にて、標的分子の探索・同定・機能解析の準備を進めている。 C. Ero1 KOホモマウスの確立により、ERO1KO心筋細胞を単離・培養し、低酸素刺激による分泌蛋白質ならびに小胞体ストレス応答におけるEro1の役割を検討を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
A. 引き続き、Ero1KOホモマウスの増殖ならびに病態マウスの作製を継続し、病態モデルにおけるERO1の役割検討を開始する。 B. マウス摘出灌流心、急性心筋梗塞モデルでの役割検討-マウス心臓を摘出し、低酸素液を灌流し、低酸素モデルを作製し、冠流量、心拍数、左心室内圧およびその一次微分を測定する。また、カルシウム動態は、カルシウム感受性蛍光指示薬であるfura-2を用いて観察する。さらに、急性心筋梗塞モデルでは、慢性期における各種心機能評価を行い、心臓リモデリングの評価をおこなう。これらの測定項目について、Ero1 KOマウス、正常マウスで比較検討し、虚血心臓におけるEro1機能を明らかにする。さらに、Ero1阻害剤QM295を用いて、同様の検討を行う。 C. 腹部大動脈瘤におけるEro1の役割検討-ApoE KOマウスにアンジオテンシンIIを持続投与することにより腹部大動脈瘤モデルの作製に成功している。免疫組織学的検討の結果、腹部大動脈瘤形成部位において、Ero1発現が増大していることが明らかになった。ApoE KOマウスとEro1 KOマウスのダブルKOマウスを用いて、腹部大動脈瘤モデルを作製し、Ero1の役割を評価する。 D. Ero1 KOマウスの確立により、ERO1KO心筋細胞を単離・培養し、低酸素刺激による分泌蛋白質ならびに小胞体ストレス応答におけるEro1の役割を検討を引き続き実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス購入費・飼育費や動物実験・細胞実験を実施するための試薬購入費に研究費を使用する。また、研究成果について積極的に学会発表や学術交流をおこなうため、旅費・謝金を使用する。実験補助について謝金を使用する。
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