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2013 年度 実施状況報告書

ヒトES/iPS細胞由来心筋細胞の腫瘍化克服のための革新的な高純度単離技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591099
研究機関鹿児島大学

研究代表者

三井 薫  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40324975)

研究分担者 小戝 健一郎  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90258418)
キーワード再生医療 / ヒトES/iPS細胞 / アデノウイルスベクター / 心筋細胞
研究概要

ヒトES/iPS細胞による再生医療実現化において、克服すべき最重要課題は「腫瘍化を完全に克服する技術の開発」である。我々は"腫瘍化原因細胞(残存未分化細胞)の除去"と"目的分化細胞の純単離"という2つのアプローチから、課題解決に向けて研究を進めている。
1)腫瘍化原因細胞の除去方法:未分化ES細胞特異的遺伝子プロモータを用いた、未分化細胞可視化ウイルスベクターを産生し、未分化細胞へ感染させて可視化させた。プロモータの種類によっては蛍光強度が低く、可視化が難しいものもあったが、FACSでは陰性コントロールと比較して陽性画分にあることが判別できた。現在、可視化だけでなく薬剤感受性自殺遺伝子等を組み合わせ、より効果的な除去方法についてさらに検討を進めている。
2)目的分化細胞(心筋系統細胞)の同定単離技術
a1) ES/iPS細胞から心筋細胞への分化誘導系の確立:昨年度に引き続き分化効率の向上について検討を進めている。心筋分化の過程で発現する遺伝子を導入することで分化誘導に改善が見られた。さらに低分子化合物を組み合わせることでより高効率での心筋分化誘導を行うことができるかについて検討を進めている。
a2) 体細胞からの心筋細胞への分化誘導系の確立:a1)で得られた結果を基にしてiCM分化誘導効率の改善を行っているが、現在までに大幅な向上は見られなかった。
b) 心筋細胞単離のためのアデノウイルスベクターの検討:平成24年度に確認した[組織特異的プロモーター+Cre遺伝子]と[レポーターアデノウイルスベクター]の二種類のウイルスベクターを組み合わせて、分化心筋細胞の分取を行った。EGFP発現細胞(=心筋細胞)の数が少なかったが、細胞よりRNAを回収し、遺伝子解析を進めている。さらに、詳細な分化を解析するためのプロモーターについて検討を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) 腫瘍化原因細胞の除去方法:研究の目的である"腫瘍化阻止"をより発展させるために、構築したベクターを用いて、未分化細胞がFACSを用いて区別出来ること、分化細胞では蛍光が見られなくなることを確認し、1)については順調に進んでいる。
2)目的分化細胞(心筋系統細胞)の同定単離技術:
a) 心筋細胞への分化誘導系の確立:ES/iPS細胞からの心筋細胞分化誘導では、昨年度に引き続き分化効率の向上を検討し、ある程度の効果が得られていることから概ね順調に進展していると考える。体細胞からの心筋細胞への分化誘導系の確立については、大幅な分化効率向上が得られておらず、やや遅れていると考える。
c). ACT-SC法による心筋細胞単離の効率の検証:心筋分化の初期段階と成熟した心筋分化細胞の分取に成功しており、遺伝子発現解析を進めていることから、概ね順調に進展していると考える。
以上のことから、全体的に概ね順調に進展しているものと評価する。

今後の研究の推進方策

1) 腫瘍化原因細胞の除去方法:さらにいくつかの未分化細胞特異的発現遺伝子プロモーターを用いて、これまでに作製したベクターとの比較を行う。使用するプロモーターにより同定された未分化細胞の性質が異なるのかについて、遺伝子発現解析を行う予定である。
2)目的分化細胞(心筋系統細胞)の同定単離技術:平成25年度にいくつかのグループから心筋細胞誘導に有効な方法が報告されているため、それを追試し改良を加えることで、特に線維芽細胞からの心筋誘導について、より効率の良い分化/誘導方法を検証していく。加えて、新たに検討中のプロモーターを用いてACT-SC法により分化/誘導した心筋細胞を分取し、遺伝子発現等の検証を引き続き行う。またACT-SC法を用いて単離した細胞とそれを除いた分画にある細胞をそれぞれSCIDマウスに移植し腫瘍形成能の有無を調べる。得られた結果から、心筋細胞単離効率を検証する。

次年度の研究費の使用計画

本年度の予算はほぼ計画通りに使用したが、実験動物を用いた研究の一部を次年度に行うことにしたため、計上していた予算よりも低い研究費で行うこととなった。さらに前年度に繰り越した分はそのまま使用しなかったため、次年度使用額として繰り越した。
次年度は本年度よりも多くの実験動物を用いた研究を行う予定であるため、本年度繰り越した金額の一部はその実験に用いる。また前年度から繰り越している研究費については、次年度にウイルスベクターの産生等の物品費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Survivin-responsive conditionally replicating adenovirus kills rhabdomyosarcoma stem cells more efficiently than their progeny.2014

    • 著者名/発表者名
      Tanoue K, Wang Y, Ikeda M, Mitsui K, Irie R, Setoguchi T, Komiya S, Natsugoe S, Kosai K
    • 雑誌名

      Journal of translational medicine

      巻: 12 ページ: 27

    • DOI

      10.1186/1479-5876-12-27

    • 査読あり
  • [学会発表] アデノウイルスベクターでのヒト多能性幹細胞への効率的遺伝子導入技術の開発.2014

    • 著者名/発表者名
      三井薫、高橋知之、井手佳菜子、小戝健一郎
    • 学会等名
      第13回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20140304-20140306
  • [産業財産権] 幹細胞における腫瘍化原因細胞の新たな標識法と治療法2014

    • 発明者名
      小戝健一郎、三井薫、井手佳菜子
    • 権利者名
      小戝健一郎、三井薫、井手佳菜子
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2014-004262
    • 出願年月日
      2014-01-14

URL: 

公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-11-11  

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