慢性心不全患者に貧血と鉄欠乏が合併すると、それが予後不良と強く関連することから、その発症メカニズムと治療について、慢性心不全モデルであるダール食塩感受性(DS)ラットを用いて検討した。まず治療法として、造血と鉄吸収を司る低酸素応答性転写因子HIF-2を活性化するSirtuin 1の活性化薬レスベラトロールの効果を検討したが効果はなかった。葉酸や静注鉄の補充も効果はなかった。貧血に有効とされる漢方薬の十全大補湯は貧血を改善させた。次に貧血の発症機序として、赤血球半減期の低下が重要であることが明らかになった。これらの知見は慢性心不全の貧血に対する新たな治療法の開発につながるものと考えられた。
|