研究課題/領域番号 |
24591104
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
甲斐 久史 久留米大学, 医学部, 准教授 (60281531)
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研究分担者 |
打和 大幹 久留米大学, 医学部, 助教 (30624506)
梶本 英美 久留米大学, 医学部, 助教 (50349700)
青木 裕司 久留米大学, 医学部, 助教 (80597419)
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キーワード | 高血圧 / 血圧変動 / 心臓リモデリング / 血管リモデリング |
研究概要 |
本研究の目的は、血圧変動性増大が炎症を介して高血圧性臓器障害を助長する分子機序、特に「血圧変動」と「炎症」をリンクさせるkey moleculeを解明する。具体的には、血圧変動増大によりミネラルコルチコイド受容体(MR)系が活性化するか、その活性化機序を明らかにすることにある。自然高血圧発症ラットに両側圧受容体切離術SADを施行し血圧変動性増大高血圧ラットモデルを作成し、血圧変動性増大によるMR活性化と心肥大、心筋線維化といった心リモデリングへの関与を明らかにした。心筋およ特異的PAK欠失マウス(PAK1-CM-KO)を開発し、血圧変動性増大高血圧モデルを作成し、PAK活性化と血圧変動性増大による高血圧性臓器障害助長に因果関係があることを証明する予定であったが、PAK1-CM-KOを用いた血圧変動性増大高血圧モデル開発に難儀しており、同様にMR活性化に関与することを見出しているBMPIIR系をノックアウトしたマウスでのモデル作成を試みることとした。一方、血圧変動性増大高血圧ラットモデルにおいて高血圧性腎病変が増悪しこれにアンジオテンシンII系とならびにMR系が関与することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には、心筋特異的PAK欠失(PAK1-CM-KO)マウスを作成し、これを用いて血圧変動性増大高血圧PAK1-CM-KOマウスを作成する予定であった。しかしPAK1-CM-KOマウスが現時点で胎生致死となり本モデルでの実験遂行には時間ががかると思われた。血圧変動性増大高血圧ラットモデルにおけるジーンチップ解析からMR活性化にBMPIIR(ALK3)がRac1-PAK1系と同様に関与することが示唆されたため、ALK3ノックアウトマウスを用いて今後の検討を行うこととした。ただし、ホモALK3ノックアウトマウスは胎生致死となるためヘテロALK3ノックアウト(ALK3+/-)マウスを入手した。現在、ALK3+/-マウスでの血圧変動増大マウスモデル作成を試みている。ALK3+/-マウスが小さいため両側圧受容体切離術(SAD)が極めて難しいので難儀しているが、ALK3+/-マウスで慢性腎臓病モデルにおける内皮機能改善がみられることを解明した。 前年、血圧変動性増大高血圧ラットモデルにおける心リモデリングにアンジオテンシンII(angII)系とならびRac1-PAK1-MR系が関与することを見出したが、腎臓においても同様にangII系およびRac1-PAK1-MR系が血圧変動による高血圧性臓器障害の助長に関与すること、すなわち前糸球体動脈硬化、傍腎皮質を中心とする虚血性線維化病変発症に関与することを見出し学会発表した(論文投稿中)。
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今後の研究の推進方策 |
血圧変動性増大高血圧マウスを慢性期1K1CマウスにSADを加えて確立。ALK3+/-マウスに1K1CおよびSADを施行し血圧変動性増大高血圧マウスモデルにおけるALK3系、特にangII系およびMR系の関与を明らかにする。さらにALK3系がRac1-PAK1系を介する可能性を評価する。テレメトリー法により血圧変動性、心エコー法・ミラーカテーテルにより心機能、左室重量/体重比および心筋細胞横径、心筋線維化率から心筋リモデリングを評価。プルダウン法により心筋Rac1活性、ウエスタンブロット法によりリン酸化PAK、免疫染色法によりMR活性を評価。LMD法により心筋細胞、血管、浸潤細胞を分別した炎症・細胞増殖・細胞死・線維化などに関与する遺伝子発現を評価。血圧変動性増大高血圧ラットモデルに関して、引き続き血圧変動増大による高血圧性腎障害の機序へのRac1-PAK1-MR系の関与を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費が当初より低く抑えることが出来たため 次年度はモデル動物の組織学的評価、分子生物学的評価に物品費が必要となるためそれに充当する
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