研究課題
血管リモデリングにおけるマクロファージM1/2極性の役割につき、引き続き解析を行っている。動脈瘤誘発モデルであるマウスCaCl2投与モデル、および未熟な血管リモデリングモデルとしてマウス腫瘍内血管新生モデルでの検討を継続して行っている。本年度においては特に腫瘍血管新生モデルを用いた血管リモデリングにおけるM1/M2マクロファージの解析につき、フロータイトメーターを用いて血管リモデリングにおいて集積するマクロファージの極性を経時的に解析する系の樹立に成功している。更にM1/M2マクロファージ極性を制御する低酸素シグナルの活性化につき、同じくフローサイトメーターを用いて解析を行っている。その結果、腫瘍増大に伴う血管リモデリングに伴い、M1マクロファージが血管周囲に集積するとの予備的知見を得ることが出来た。現在、引き続き、集積するM1マクロファージを同じくフローサイトメーターを用いて回収することで、その機能解析および低酸素シグナルの役割につき解析を行っている。特にM1/M2マクロファージ特異的な活性化機構につき詳細な検討を行うことで、マクロファージ極性を介する血管リモデリング機構の解明に迫ることができると考えている。更に、今回の腫瘍血管解析により樹立した実験系を応用することで、引き続きCaCl2動脈瘤モデルにおける炎症細胞、マクロファージ極性変化の役割について解析系の樹立を試みることが可能であると考えている。腫瘍血管新生モデル、動脈瘤進展モデルにつき、引き続き解析を継続する。
2: おおむね順調に進展している
本研究においては、動脈硬化病変不安定化におけるマクロファージM1/M2極性の役割を、動脈硬化進展モデル、腹部動脈瘤発症モデルを用いて解析することを目的としていた。動脈瘤モデルとして、当初予定していたApoEノックアウトモデルを用いたAngiotensinII負荷に加えて、より炎症細胞の解析が行いやすいCaCl2負荷モデルでの解析を行っている。一方で、当初動脈硬化プラークモデルにおいて集積する炎症細胞をフローサイトメーターを用いて解析する予定であったものの、集積する細胞数が限られており安定的な解析は困難であることが判った。そこで、まず血管リモデリングにおける炎症細胞、マクロファージ機能解析を詳細に行う系として、腫瘍血管新生モデルを用いて解析を行うこととした。本年は腫瘍内血管リモデリングにおいて集積するM1/M2マクロファージの経時的プロフィールおよびM1/M2特異的遺伝子発現につき、興味深い解析結果を得ることが出来た。これらの解析結果および解析系の樹立は、M1/M2マクロファージによる血管リモデリング機構の解明に重要であるだけでなく、動脈瘤モデルにおいてM1/M2マクロファージが果たす役割の解析においても極めて有用であると考えられる。
血管リモデリングにおいてM1/M2マクロファージが果たしている役割について、引き続き動脈瘤モデル、腫瘍血管新生モデルを用いた解析を行う。これまでの解析により、M1/M2マクロファージ特異的因子の探索を開始しており、その機能抑制を介してM1, M2特異的マクロファージ機能につき、in vivoでの解析を継続する。
マウス動脈瘤および腫瘍血管新生モデルの樹立に予定よりも長期間を必要とした。現在は上記動物実験モデルを安定して樹立することに成功しており、引き続き集積する炎症細胞につきフローサイトメーターを用いて解析を開始している。動脈瘤モデル、腫瘍血管新生モデルを用いて、血管リモデリングプロセスにおいて集積する炎症細胞、マクロファージのプロファイルにつき解析を継続する。M1/M2マクロファージ特異的因子の探索およびその機能制御を介してM1/M2マクロファージ特異的機能につき評価を行う。
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Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 110 ページ: 17570-17575
FEBS Lett.
巻: 587 ページ: 2179-2185