研究概要 |
ミネラロコルチコイド受容体(MR)導入血管内皮細胞株でのにてアルドステロンで発現誘導のかかり、アルドステロン過剰の病態関連する遺伝子(ANGPTL4, ESM-1, SNF1K)につき、細胞、動物モデル、アルドステロン症患者臨床検体を用い疾患との関連性を解明することを目的としている。上記の因子に関する諸検討で陽性データが得られず、今年度はアルドステロン過剰症の病態である原発性アルドステロン症のアルドステロン産生腺腫(APA)のアルドステロン産生異常および腫瘍発生を解明する目的でマイクロアレイを用いた遺伝発現解析とゲノムDNAメチル化のの網羅的解析を行った。患者の同意のもとに手術時に採取したAPAと隣接する正常副腎組織の7症例14検体を用いた。DNAメチル化修飾の解析はInfinium HumanMethylation450 BeadChip Array(イルミナ社)を、遺伝子発現解析はSurePrint G3 Human GE 8x60K Microarray (Agilent社)を用いた。APAと同一患者検体の付随副腎組織を比較検討した。APAでは付随副腎組織と比較して全体としてDNA脱メチル化傾向が認められた。またAPAでは、5症例以上に共通した転写開始点近傍のCpG配列の脱メチル化が357遺伝子で認められた。さらに同一検体を用いたトランスクリプトーム解析により遺伝子発現とDNAメチル化の関連を検討したところ、アルドステロン産生の律速酵素であるCYP11B2を含む複数の遺伝子のDNA脱メチル化を伴った発現の亢進が示唆された。現在データの詳細につき解析検討中である。
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