研究実績の概要 |
ミネラロコルチコイド受容体(MR)導入血管内皮細胞株でのにてアルドステロンで発現誘導のかかり、アルドステロン過剰の病態関連する遺伝子(ANGPTL4, ESM-1, SNF1K)につき、細胞、動物モデル、アルドステロン症患者臨床検体を用い疾患との関連性を解明することを目的としてたが、上記の因子に関する諸検討で陽性データが得られず、H.25年度よりアルドステロン過剰症の病態である原発性アルドステロン症のアルドステロン産生腺腫(APA)のアルドステロン産生異常および腫瘍発生を解明する目的でマイクロアレイを用いた遺伝発現解析とゲノムDNAメチル化のの網羅的解析を検討を施行している。APAと隣接する正常副腎組織の7症例14検体を用いたメチローム、トランスクリプトーム統合解析により、プロモーター領域(TSS200/1500)の脱メチル化とmRNA発現上昇を伴う34遺伝子を同定した。これらの遺伝子の中には、アルドステロン合成促進に関わるCYP11B2やMC2R、腫瘍の転移や悪性度に関わることが知られているPRRX1, RAB38, FAP, GCNT2, ASB4などが含まれており、APAにおけるアルドステロンの自律性分泌や腫瘍化との関わりが示唆された。これまで、異なる症例から得られた副腎腫瘍と正常副腎組織を比較したDNAメチル化解析の報告はあったが、本研究は同一症例においてAPAとAAGのトランスクリプトーム解析とメチローム解析を統合的に比較検討した初の報告であり、APAの発症にDNA脱メチル化による遺伝子発現制御が関与する可能性を示したものと考えられた。
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