研究課題
心臓線維化における、内皮間葉移行の分子メカニズムを解明するために、内皮細胞でPECAM1(内皮細胞マーカー), αSMA(平滑筋アクチン)およびFSP1(線維芽細胞特異的タンパク質)の免疫染色を、マウスの疾患モデルおよび剖検心で行ったところ、FSP1のシグナルが弱く、またin vivoおよびin vitroにおいてもFSP1とPECAM1が重なる細胞は観察されなかった。剖検心では、PECAM1とαSMAの共発現をごく少数に認めるのみであった。PECAM1とFSP1の一致は認められなかった。このため使用するレポーターマウスを変更した。内皮間葉移行現象を解析するには、内皮細胞由来の細胞を経時的に追いかける必要があり、pTie2-CreマウスとROSA26-pCAG-lox-stop-lox tdTomatoマウスを交配させることで、内皮細胞由来の細胞をマーキングすることとした。このマウスをさらにpFSP1-EGFPマウスと交配させ、心筋梗塞モデルを作成し、tdTomatoおよびEGFPのシグナルが重なる部位を、共焦点顕微鏡を用いて検討を行なった。最近FSP1が線維芽細胞だけでなく、血球でも発現を認めると報告されたことから、periostinを線維芽細胞のマーカーとして検討を行った。心筋梗塞の周囲に一致して、tdTomatoとFSP1の一致する細胞は認めるも、periostinと一致する細胞は認めず、全て血球細胞の可能性が高いと考えられた。このため、心筋梗塞の線維化部位では内皮間葉移行現象は生じておらず、線維芽細胞は、元々心臓に存在した線維芽細胞が増殖することによると結論した。さらに横行大動脈結紮モデルでも内皮間葉移行現象は認めなかった。さらに、VEGF受容体阻害薬および低酸素暴露を用いたマウスの肺高血圧モデルを作成し、右室肥大および肺動脈の血管のリモデリングにおいても検討を行ったが、内皮間葉移行現象は認められなかった。
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