研究課題/領域番号 |
24591115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
梅本 誠治 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90263772)
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研究分担者 |
吉村 耕一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00322248)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | hypertension / Toll-like receptor 4 / MCP-1 / vascular remodeling / ecSOD / angiotensin II |
研究概要 |
対照マウス,TLR4欠損マウスともに血圧に差はなく,アンジオテンシンIIとノルエピネフリン負荷でともに同等に血圧が上昇したにもかかわらず, アンジオテンシンII負荷においてノルエピネフリン負荷と比べて対照マウスではecSODの活性上昇が抑制され,酸化ストレスがより増加し,血管再構築も進行した.しかし,アンジオテンシンIIはAT1受容体を介してNADPH oxidaseを活性化して酸化ストレスを産生するが,それにはToll-like receptor signal adaptor protein MyD88とTLR4の連関が必要である.TLR4欠損マウスではMyD88の発現そのものがすでに低下しており,これらアンジオテンシンIIによる慢性負荷による組織内酸化ストレスレベルの増加とNADPH oxidase活性上昇もTLR4欠損マウスは対照マウスと比べて完全に抑制されていた.同様の所見は,血圧を低下させない程度の低用量アンジオテンシンII受容体拮抗薬を投与した対照マウスでも観察されたが,TLR4欠損マウスでは全く影響がなかった. さらに慢性のアンジオテンシンII負荷により酸化ストレス消去酵素であるecSOD活性がTLR4欠損マウスでは対照マウスよりも有意に増加していたことから,TLR4-MyD88経路はアンジオテンシンIIにより主にecSODを抑制して酸化ストレスを増加させ, 血圧に関係なく臓器障害を特異的に引き起こす臓器障害惹起規定因子である可能性が見出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在これまでの研究結果を論文2編にまとめて学会誌に投稿した.その結果,reviewerから多くの追加実験の必要を指摘された.そのための追加実験等にかなりの時間を割いたことから,研究の進捗が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
TLR4をsiRNAを用いてアンジオテンシンIIによるスーパーオキシドおよびNADPH oxidase活性の抑制,MCP1,TLR4,AT1受容体の組織内発現,NF-kBなどの炎症細胞の浸潤,さらに他のサイトカインの発現を確認するとともに,H2O2の組織内発現をあわせて検討し,論文のrevisedをなるべく早期に終了し,再投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度と同様に研究を継続するが,in vivoの実験からラット培養平滑筋細胞を用いたin vitroでの分子生物学的手法を用いた検討に重点を移し,平成25年度後半には研究成果をまとめて国内外の学会等で発表し,論文として投稿・公表を目指す.すでに平成24年度に行った実験結果の一部を論文化し投稿したが,査読の結果にて追加実験が必要となる場合が考えられたことから,追加実験等に備えて試薬・消耗品等の購入を見送ったため,未使用額が生じた.この未使用額については,平成25年度の本研究に用いる物品費の購入費とあわせて使用する.
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