研究課題/領域番号 |
24591123
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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研究分担者 |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 准教授 (20343709)
太田 孝男 琉球大学, 医学部, 教授 (70185271)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / アポA-I / 分子イメージング / Apo-Eノックアウトマウス |
研究概要 |
新規アポA-I模倣ペプチド(FAMP):新たな動脈硬化の診断・治療法の確立をテーマとし、初年度はFAMP使用による動脈硬化の診断および治療の二面から研究を実施した。 動脈硬化の診断に関しては、FAMPによる動脈硬化分子イメージング法の確立のために、PET(positron emission tomography)画像でFAMPに対し、キレーターである1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetraacetic acid(DOTA)で修飾し、ポジトロン放出金属核種68Gaや64Cuにて標識した。標識物質である68Ga-DOTA-FAMPを正常のJW(日本白色)ウサギおよび動脈硬化をきたしているWHHL(ワタナベ遺伝性高脂血症)ウサギに投与し、正常部や動脈硬化層への取り込みを検討した。JWウサギの大動脈には取り込みが無く、WHHLウサギの大動脈の動脈硬化層に取り込みを確認した。また、大動脈へステントを留置し、炎症を起こさせた場合においても、その部位に一致して68Ga-DOTA-FAMPの信号を検出した。以上より、FAMP使用による動脈硬化の診断に有用であることが示唆された。 動脈硬化の治療に関しては、FAMP投与によるApo-Eノックアウトマウスにおける動脈硬化抑制作用の検討を行った。高コレステロール食負荷後、マウスをFAMP非投与群、低用量FAMP投与群(10 mg/kg/日)と高用量FAMP投与群(50 mg/kg/日)の3群に分け試験終了時に大動脈の動脈硬化面積を測定した。低用量FAMP投与群では、FAMP非投与群に比し有意に動脈硬化面積が減少し、高用量FAMP投与群ではさらに減少を認めていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画では、1)FAMPを用いた動脈硬化診断法―PETでの動脈硬化層のイメージングの確立、2)FAMPを用いた動脈硬化治療法―動脈硬化層に対する影響(athero study)①Apo-Eノックアウトマウスにおける動脈硬化抑制作用の検討および②WHHLウサギにおけるFANPの動脈硬化退縮効果の検討を行う予定であった。このうち、1)および2)は計画通りに実施でき、結果も予想通りで、動物におけるPETでの動脈硬化層のイメージングの確立、およびApo-EノックアウトマウスにおけるFAMP動脈硬化層の抑制を証明できた。現在、WHHLウサギにおけるFANPの動脈硬化退縮効果の検討のために、血管内超音波により大動脈内の動脈硬化層の測定を実施中であり、その後、FAMP投与の効果を確認することとしている。
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今後の研究の推進方策 |
動脈硬化の診断に関しては、現在、臨床応用の前段階として、68Ga-DOTA-FAMPの安全性試験を実施中である。また、この安全性試験はDOTA-FAMP複合体にて施行中であることから,臨床試験承認後の標識物はWHHLウサギにて成功している68Gaだけでなく,64Cu, 89Zr, 111Inなどの核種への変更が可能であり,ヒトおけるFAMPのクリアランス等の不具合が生じた際は他の核種への変更が可能な計画とした。安全性試験の結果を確認後、LDL-C高値およびHDL-C低値例において臨床薬理学的試験を実施し用量設定を行う予定である。また、実施場所および許可基準などの申請を行う。 FAMPを用いた動脈硬化治療法の確立へ向けて、FAMPの動脈硬化抑制メカニズムの検討をefflux study、turn over study、RCT studyの3試験によって実施する。CETPトランスジェニックマウスは入手済み、ヒトHDLに3H-コレステロールの導入法を確立中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
CETPトランスジェニックマウス、Apo-Eノックアウトマウスや野生型マウス購入および飼育費。ワタナベウサギ及び白色ウサギの購入および飼育費。アポ蛋白の購入、アミノ酸の購入にあてる。
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