研究課題/領域番号 |
24591123
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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研究分担者 |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 准教授 (20343709)
太田 孝男 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70185271)
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キーワード | 動脈硬化 / ApoA-I / 分子イメージング / Apo-Eノックアウトマウス |
研究概要 |
新規アポA-I模倣ペプチド(FAMP):新たな動脈硬化の診断・治療法の確立をテーマとし、本年度は、初年度に引き続きFAMPによる動脈硬化の診断および治療の二面から研究を実施した。動脈硬化の診断に関しては、初年度においてFAMPによる動脈硬化分子イメージング法をウサギモデルにおいて68Ga-DOTA-FAMPを使用し確立していた。本年度は、DOTA-FAMPを他の核種64Cuにて標識し、同様の実験を実施した。しかし、動脈硬化の分子イメージングは、68Ga-DOTA-FAMPの方が優れており、今後の臨床試験に向けては、68Ga-DOTA-FAMPを使用することとした。臨床試験実施のために、まず、安全性試験をDOTA-FAMP複合体にて動物において実施した。安全性を確認し、薬理学的用量を設定し、PET薬剤を製造・品質検定した。動脈硬化の治療に関しては、初年度にApo-Eノックアウトマウスにおける動脈硬化抑制試験において、高用量FAMP投与にて、有意な動脈硬化面積が減少していたため、本年度は、その機序について、FAMP投与における脂質プローフィールや抗炎症効果について、マウスを使用し検討した。FAMP投与によりpre beta-HDLの増加と考えられるコレステロール引き抜き能の増強効果をefflux studyにより確認した。さらに、FAMP投与により血中C反応性蛋白や単球走化性因子-1といった炎症物質が減少していた。さらに、細胞でベルでは、FAMPによる内皮細胞や平滑筋細胞における炎症物質の減少とマクロファージにおけるコレステロール引き抜き能の増強効果を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画では、1)FAMPを用いた動脈硬化診断法―PETでの動脈硬化層のイメージングの確立、2)FAMPを用いた動脈硬化治療法―動脈硬化層に対する影響(athero study)①Apo-Eノックアウトマウスにおける動脈硬化抑制作用の検討および②WHHLウサギにおけるFANPの動脈硬化退縮効果の検討を行う予定であった。このうち、1)および2)は計画通りに実施でき、結果も予想通りで、動物におけるPETでの動脈硬化層のイメージングの確立、およびApo-EノックアウトマウスにおけるFAMP動脈硬化層の抑制を証明できた。現在、WHHLウサギにおけるFANPの動脈硬化退縮効果の検討のために、血管内超音波により大動脈内の動脈硬化層の測定を実施中であり、その後、FAMP投与の効果を確認することとしている。
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今後の研究の推進方策 |
動脈硬化の診断に関しては、現在、68Ga-DOTA-FAMPの安全性確認およびPET薬剤の製造・品質検定が終了し、今後は、臨床試験に向けて実施場所および許可基準などを申請中である。FAMPを用いた動脈硬化治療法の確立へ向けて、FAMPの動脈硬化抑制メカニズムの検討をさらに進めていく予定である。マウス実験では、efflux studyは終了し、メカニズムの検討としてturn over study、RCT studyを計画している。
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