研究実績の概要 |
我々は、卵白アルブミン(OVA)感作、チャレンジによるマウス気管支喘息モデルに好塩基球除去抗体(Ba103)および好塩基球特異的欠損マウス(Mcpt8DTRマウス)を投与することにより、喘息病態の表現形がどのように変化するかを検討した。Ba103投与モデル、Mcpt8DTRマウスモデルともにOVAチャレンジ後のBAL中総細胞数の増加、好酸球の増加、アセチルコリン吸入により気道過敏性の亢進が見られたが、我々が期待していた好塩基球除去による気道過敏性の抑制や気道への炎症細胞浸潤の抑制は見られなかった。 気管支喘息については、関連する施設によりマスト細胞が喘息に関与することを証明する一方で、好塩基球の関与には否定的なデータが示された(J Immunol 188: 1809-18,2012)こともあり、その後は広くアレルギーにおける好酸球の機能を解析する目的で用いられている好酸球欠損マウス(delta-dblGATAマウス)における好塩基球の動態をテーマとした研究として一部派生した研究も行われた(PNAS 110: 18620-18625, 2013)。 「好塩基球が気管支喘息のアレルギー性気道炎症において重要な役割を果たしている」という本研究の仮説は否定的であり、論文としてまとめるには至らなかったが、好塩基球の役割の研究において重要な知見を残したと考えている。
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