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2013 年度 実施状況報告書

mTOR関連細胞生存シグナルの制御による慢性閉塞性肺疾患発症およびその機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24591127
研究機関信州大学

研究代表者

安尾 将法  信州大学, 医学部附属病院, 講師 (20402117)

研究分担者 花岡 正幸  信州大学, 医学部, 教授 (20334899)
キーワード慢性閉塞性肺疾患 / 肺気腫 / 病因 / 動物モデル
研究概要

H25年度は昨年度標準として用いた、2mg/kgのSirolimusをラットに6週間投与した肺検体を用いて更に免疫組織化学的検討を加えた。また同一の肺検体を用いて核および細胞質の蛋白発現をウエスタンブロット法によって検討した。
行った免疫組織化学はPECAM-1、CD4、CD8である。PECAM-1はCD31と同義であり、血管内皮細胞のマーカーとして染色した。PECAM-1においてはControlとSirolimus投与ラットにおいて、染色性に相違がみられなかった。CD4、CD8染色の検討によると、血管周囲に集簇していたCD3陽性小円形細胞はCD8陽性Tリンパ球であることが判明した。
ウエスタンブロット法による蛋白発現の検討においては、既報のごとく、Sirolimus投与ラット肺においてmTORC1の活性化に伴ってリン酸化されるphospho-S6K1の有意な低下がみられた。このほか、VEGF、phospho-Akt, phospho-NF-κBの発現低下と核蛋白のSTAT-1発現亢進(アポトーシスを誘導)という結果が得られた。
VEGF, Akt発現低下による肺胞構成細胞の生存シグナルの低下とSTAT-1発現亢進によるアポトーシス亢進は既報の別の検討における気腔の拡大と同様の機序が起こっていることを示していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞生存シグナルの低下に伴う気腔の拡大という結果に対する蛋白発現の結果は予想通りであった。一方CD8陽性細胞の血管周囲への集簇は当初想定していなかった結果でありこちらについては今後検討を要する。CD8陽性リンパ球による炎症はヒトCOPD肺にもみられることから、考察は可能と判断し、進捗状況は概ね順調と評価した。

今後の研究の推進方策

1.すでに作成してある、3週(短期間投与)および12週(長期間投与)のモデルについても同様の蛋白発現であるのか、経時的な差異があるのかについて検討する。
2.CD8陽性Tリンパ球の血管周囲への集簇のメカニズムについて検討する。具体的には、CD8陽性Tリンパ球が何らかの炎症を来しているかどうかにつき、グランザイムやパーフォリンといった、CD8が活性化した際に分泌される酵素の発現の亢進があるかどうか検討する。CD8陽性Tリンパ球の活性化が確認されれば、集簇している部分の血管内皮細胞がアポトーシスなどを起こしているかどうかを検討する予定である。
進捗状況は概ね予定通りとしたが、CD8陽性細胞の集簇が当初の想定外であり、検討に時間を要する可能性がある。

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公開日: 2015-05-28  

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