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2012 年度 実施状況報告書

RNA干渉を応用した慢性閉塞性疾患の新規治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591128
研究種目

基盤研究(C)

研究機関三重大学

研究代表者

GABAZZA Esteban  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293770)

研究分担者 小林 哲  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20437114)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード難病 / プロテアーゼ / 肺気腫 / 慢性炎症性疾患 / 転写因子 / 核酸医薬 / サイトカイン / ケモカイン
研究概要

慢性閉塞性疾患(chronic obstructive pulmonary disease[COPD])は極めて予後不良であり、また決定的な治療法も無く、その治療法はほぼ対症療法に留まる。COPDは主として喫煙によって発生する慢性炎症性肺疾患であり、近年、その罹患率は世界的に増加しており、日本においてもその傾向が著しい。世界保健機構の報告ではCOPDが世界の死亡原因の第5位にのぼり、日本でも2001年の疫学調査によればCOPDの患者数は40歳以上の成人の中で約530万人と推定され、日本も欧米と同様に高いCOPDの有病率を示す。本研究の目的はタバコ煙によるCOPD]マウスモデルを作製し、in vivo 実験によって、NFkappaBなどの転写因子に対するsiRNA投与することにより、その病態形成を抑制することが可能かどうかを検討する。平成24年度はCOPDの機序に重要な役割を果たしているマトリックスメタロプロテアーゼ-2 (matrix metalloproteinase [MMP]-2)のトランジェニックマウスを作成した(特許出願中)。具体的には、マイクロインジェクション法によりpCAGGS-ヒトMMP2発現コンストラクトを導入したC57BL/6J マウスの受精卵から、トランスジェニックマウスのファウンダー候補となる産子を得て、サザン解析によるジェノタイピングを行い、トランスジェニックマウス、ファウンダー個体を同定した。次にヒトMMP-2トランスジェニックマウスに毎日20分、一週間タバコ煙水抽出液を吸入させ、COPDモデルを作製した。COPDの発症は肺の組織学的検査にて確認できている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は以下の目標が達成することが出来た:
a) 肺でのプロテアーゼ/抗プロテアーゼのインバランスが認められるヒトMMP-2過剰発現のトランジェニックマウスの作成。
b) ヒトMMP-2過剰発現のトランジェニックマウスにタバコ煙水抽出液を吸入させることによりCOPDになることの確認。
c) NFkappaBなどの転写因子とMMP-2に対する新規型の核酸の設計、デザイン、配列、作成の完了。
d) In vitro実験により、NFkappaBなどの転写因子に対する核酸の生物活性の確認。

今後の研究の推進方策

平成24年度は以下のような実験を行う:
1) NF-kappaBなどの転写因子に対する新規型のsiRNAによる炎症性サイトカイン産生の抑制効果の検討:野生型(C57BL/6)マウスモデル由来肺動脈内皮細胞・肺胞上皮細胞はコラゲナーゼ法で、肺胞マクロファージは気管支肺胞洗浄液から分離する。siRNAとタバコ煙水抽出液の存在下で培養し、24時間後に炎症性サイトカインの発現・産生をqReal-TimePCR法、ELISA法、Western blot法で測定する。
2) COPDマウスモデルに対するNF-kappaB siRNAの抑制効果の検討:MMP-2トランスジェニックマウスにタバコ煙水抽出液を吸入させる前に毎日転写因子に対する siRNA 又はscrambledを投与し、2週間後に血液、気管支肺胞洗浄液中のTNFα、IL1βなどの炎症性サイトカイン量、好中球、肺胞マクロファージの数、組織学的変化で肺気腫の程度をグループ間に比較検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年と平成26年度の研究費は以下のことに使用する:
1) ヒトMMP-2 トランジェニックマウスの維持。2) マウスのgenotypingのために行わるPCRキットなどの購入。3) COPDを誘導するために使用するタバコ煙水抽出液の購入。4) 細胞分離を行うために使用する試薬などの購入。5) 炎症性反応を検討するためのELISAキットなどの購入。6) 組織学的検査のための試薬などの購入。7) 研究の発表、論文の投稿費。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Efficacy of a novel class of RNA interference therapeutic agents.2012

    • 著者名/発表者名
      HamasakiT, D'Alessandro-GabazzaCN, NaitoM, KobayashiT, TodaM, MizutaniT, TaguchiO, MorserJ, EguchiY, KurodaM, OchiyaT, HayashiH, GabazzaEC, OhgiT.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7(8):e42655 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0042655. Epub 2012 Aug 15.

    • 査読あり
  • [学会発表] 呼吸器疾患におけるRNAiを用いた治療開発の可能性

    • 著者名/発表者名
      小林哲、ガバザエステバン、その他
    • 学会等名
      日本呼吸器学会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
  • [備考] 基礎医学系講座 免疫学

    • URL

      http://www.medic.mie-u.ac.jp/organization/course/immunology

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公開日: 2014-07-24  

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