研究課題
今回の実験計画ではCOPDの病態形成に重要な役割を果たしているマトリックスメタロプロテアーゼ-2 (matrix metalloproteinase [MMP]-2)のトランジェニック(TG)マウスを作成した(特許出願番号:特願 2013-256900)。また、NF-kappaBなどの転写因子とMMP-2に対する新規型の核酸の設計、デザイン、配列、作成も行った。本研究では以下の成果を得た:1) ヒトMMP-2 TGマウスを用いたタバコ煙誘発慢性閉塞性肺疾患モデルの開発。具体的には、マイクロインジェクション法によりpCAG-ヒトMMP2発現コンストラクトを導入したC57BL/6J マウスの受精卵から、TGマウスのファウンダー候補となる産子を得て、サザン解析によるジェノタイピングを行い、TGマウス、ファウンダー個体を同定した。次にヒトMMP-2TGマウスにタバコ煙水抽出液を吸入させ、COPDモデルを作製した。COPDの発症は肺の組織学的検査にて確認できている。2) NF-kappaBなどの転写因子とMMP-2に対する新規型の核酸の設計、デザイン、配列、作成の完了。
2: おおむね順調に進展している
本研究ではできるだけ早期の段階で薬の効果を検討するため、最初にタバコ煙誘発COPDモデルを作製し、炎症性反応に関わる転写因子に対してsiRNAの合成をした。
1)喫煙誘発COPDに対するNF-kappaB siRNAの抑制効果の検討: C57BL/6野生型マウスに喫煙を暴露させる前に毎日p65NF-kappaB siRNA 又はscrambled NF-kappaB siRNAを投与し、2週間後、CT又は組織学的変化で肺気腫の程度をグループ間に比較検討する。2)NF-kappaB siRNA療法による炎症性サイトカインの受容体発現の変動:C57BL/6野生型マウスに喫煙を暴露させる前に毎日p65NF-kappaB siRNA 又はscrambled NF-kappaB siRNAを投与し、2週間後に血液、気管支肺胞洗浄液中のTNFα、IL1βなどの炎症性サイトカインの受容体の変動を比較検討する。
COPDマウスモデルを用いてin vivoのsiRNAの抑制効果の検討を次の年度に行うことになったためである。次の実験を行う予定である:1)喫煙誘発COPDに対するNF-kappaB siRNAの抑制効果の検討: C57BL/6野生型マウスに喫煙を暴露させる前に毎日p65NF-kappaB siRNA 又はコントロールsiRNAを投与し、2週間後、CT又は組織学的変化で肺気腫の程度をグループ間に比較検討する。2)喫煙誘発COPDに対するNF-kappaB siRNAの濃度依存性の検討: C57BL/6野生型マウスに喫煙を暴露させる前にターゲット又はコントロール NF-kappaB siRNAの種々の濃度を毎日投与し、2週間後、CT又は組織学的変化で肺気腫の程度をグループ間に比較検討する。
すべて 2013
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