研究課題
COPDは、糖尿病や心血管疾患などの併存症を伴うことから全身性疾患としての認識が強調されているが、詳細な機序は不明である。アディポネクチン(APN) は、動脈硬化、糖尿病、心筋梗塞に重要な役割をするものと注目されている。興味深いことにAPN KOマウスは高カロリー食により糖尿病や動脈硬化をきたすことからメタボリックシンドロームの鍵分子と考。しかし無刺激においては表現型の報告は見られず、肺におけるAPNの役割は不明であった。そこで我々はAPNの抗炎症作用、血管保護作用や喫煙によるAPNの低下作用に着目し、APN KOマウスを解析した。驚いたことに無刺激下で加齢とともに肺胞構造の破壊や全身炎症性変化(CRP増加)などヒトCOPD類似の病態を呈することを見出した。さらにAPN KOマウスは高齢になると体重減少、筋肉萎縮や骨粗鬆症を呈することも見出した。APN KOマウスでは、APNの持つ血管保護作用が低下することで肺構造が維持できなくなりCOPDに至ることも解明した。最後にAPN KOマウスにAPNを組み込んだAdenovirusの投与により、肺気腫の治療に成功した。加齢とともに進行性の肺気腫だけでなく、全身性炎症、骨粗鬆症、体重減少、筋肉萎縮を合併するAPN KOマウスは全身性疾患としてのCOPDに合致する新たなCOPDモデル動物となると考えられる。さらに本モデルマウスを用いて従来法(組織解析、呼吸機能)に加えて、micro-CTと超偏極129-XeMRI(従来法)では捉えることができなかった拡散能や血流などの新たな機能評価を可能とする新規イメージングモダリティ)を融合させた新たな肺気腫評価法(マルチモーダルイメージング法)の構築に成功した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
Patient Prefer Adherence.
巻: 21 ページ: 361-370
BMC Pulm Med.
巻: 4 ページ: 172
Lung
巻: 5 ページ: 210-214