研究課題/領域番号 |
24591130
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
立花 功 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60324761)
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研究分担者 |
武田 吉人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40452388)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | テトラスパニン / COPD / スタチン / マクロファージ / CD14 / ラフト |
研究概要 |
1165 種の既存薬ライブラリーの中に、テトラスパニン CD9、CD81 の発現を増強するものがあるか、マクロファージ培養株 RAW264.7 細胞を用いたウェスタンブロットでスクリーニングしたところ、高脂血症薬スタチンと骨粗鬆症薬ビスフォスフォネートに CD9 および CD81 の発現増強作用のあることを見出した。 脂溶性スタチンであるフルバスタチンとシンバスタチンは、RAW264.7 の CD9/CD81 を増加させると共に、LPS 刺激による TNF-alpha や MMP-9 の発現を抑制し抗炎症効果を示した。これらスタチンの抗炎症効果は、ワイルドタイプ (WT) マクロファージでは認められたが、CD9 ノックアウト (KO) マクロファージでは認められなかった。またマウスにスタチンを投与して LPS 刺激したところ、WT マウスでは抗炎症効果があったが CD9 KO マウスではやはり認められず、スタチンの抗炎症作用には CD9 が必須であることが示された。 ショ糖密度勾配で膜ミクロ領域画分を分離したところ、スタチンは LPS 受容体である CD14 を脂質ラフトから CD9 に富んだミクロ領域へと移動させ、シグナル伝達を阻害することが示唆された。メバロン酸経路の中間産物を加えてウェスタンブロット解析を行ったところ、スタチンの CD9/CD81 増強作用は、Rho など低分子量Gタンパクの活性化に向かうゲラニルゲラニル化経路の阻害によるものと考えられた。 スタチンの抗炎症メカニズムはよく分かっていなかったが、われわれの結果は、メバロン酸経路の抑制が CD9 発現増強を介して炎症抑制につながっている可能性を示唆する。また、われわれの結果は COPD の治療にスタチンを加えることの rationale となりうる。
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