研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)にみられる栄養障害は予後を規定する重要な併存症である。しかし有用な栄養補給療法は未だ確立されていない。申請者はエネルギー吸収の観点から消化管に着目し、動物モデルを用いて脱繊維食や不規則な給餌で腸内環境を悪化させた場合、高度の栄養障害とともに気腫病変が高度かつ早期に形成されることを明らかにしてきた。COPDの発症進展における後天的要因として食生活の重要性を示唆する結果として注目されている。これらの結果を基盤に腸内環境の改善を目指すことによって、栄養障害の改善にとどまらず、COPDの発症予防にも寄与しうる新たな栄養療法(食生活改善療法)を確立する糸口を得ることが本研究の目的である。 繊維除去食ならびに不規則な食事摂取で喫煙曝露すると、肺気腫ならびに栄養障害、骨粗鬆症の発症・進展が高度になることを動物モデルを用いて明らかにしてきた。前年度はGFOB:Glutamine,Fiber,Oligo糖,Bifidobcteriumが気腫病変および骨病変を軽減することを動物実験で見出した。本年度はCOPD患者にGFOBを投与するための投与法について検討した。GFOおよびBは各々市販されているものを使用することとし、GFOはすでに推奨されている一回一包15gを一日3回、Bは腸内により効率的に定着させるために寝る前に一回一包(5.0×10の8乗個)摂取させる方法でボランティアに投与し、下痢等の消火器系に対する問題がないことを確認した。本年度予定しているCOPD患者への投与にむけて現在準備中である。
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