研究課題/領域番号 |
24591135
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小荒井 晃 東北大学, 大学病院, 助教 (80458059)
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 自然免疫 / toll様受容体 / マクロファージ / 気道上皮 / 急性増悪 |
研究概要 |
COPDは罹患率と死亡率の高い疾患であり、その病態解明および制御が重要である。本研究ではCOPD病態におけるtoll様受容体(TLRs)をはじめとする自然免疫の役割を肺構成細胞において明確にすることである。H24年度までに手術肺での組織学的検討およびヒト末梢血由来マクロファージを用いた検討により、喫煙はマクロファージにおけるTLR3発現および受容体応答を増強し、好中球性炎症および肺構造破壊機序に関与する可能性を示すことができた(A. Koarai, et al. Respirology 2012)。H25年度は臨床検体を用いた病態の確認を計画したが、検体採取が進まず、検討が困難であった。 H25年度のもう一方の検討計画であるCOPD病態およびその増悪における気道粘液過産生の制御の病態解明のため、気道上皮におけるムチン産生へのTLR3の関与の検討を行った。ヒト気道粘液分泌腫瘍細胞(NCI-H292 cell)を用いてTLRsリガンド刺激によるMUC5AC産生およびそのシグナル経路を調べた。TLR3受容体リガンドであるpoly(I:C)によりMUC5AC産生の増加が認められ、機序としてEGFRおよびその下流シグナルであるERK1/2の関与をwestern blot法による蛋白のリン酸化および阻害薬を用いた検討により明らかにした。また、タバコ抽出液前処置によりMUC5AC産生がさらに増強することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロファージにおけるデータをまとめたが、臨床検体での確認が進まなかった。しかし、気道上皮におけるムチン産生機序の解明に関しては当初の予定の結果が得られており、総合的には概ね順当に進展したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度はタバコ煙のpoly(I:C)刺激によるMUC5AC産生に対する増強機序に関して培養細胞に加えヒト気道上皮三次元培養を用いて検討を進める予定である。また、ヒト手術肺から気道上皮細胞などの細胞を分離培養し健常者とCOPDとのTLRs刺激などに対する反応性の比較検討も進める予定である。また、可能であれば閉塞性肺疾患増悪機序の解明するためウイルスを用いた検討や細胞障害時に放出される内因性分子「ダメージ」関連分子パターン(DAMPs)の肺構成細胞に与える影響等も検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用学は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成25年度の未使用額は平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。実際には、TLR3などのリガンド、阻害薬およびELISAキット、培養液等の費用に用いる予定である。
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