研究課題
COPDは罹患率と死亡率の高い疾患であり、その病態解明および制御が重要である。本研究ではCOPD病態におけるtoll様受容体(TLRs)をはじめとする自然免疫の役割を肺構成細胞において明確にすることである。H24年度までに手術肺での組織学的検討およびヒト末梢血由来マクロファージを用いた検討により、喫煙はマクロファージにおけるTLR3発現および受容体応答を増強し、好中球性炎症および肺構造破壊機序に関与する可能性を示した(A. Koarai, et al. Respirology 2012)。また、H25年度にはCOPD病態およびその増悪における気道粘液過産生の制御の病態解明のためヒト気道粘液分泌腫瘍細胞(NCI-H292 cell)を用いて検討をおこない、TLR3受容体リガンドであるpoly(I:C)刺激によるMUC5AC産生がタバコ抽出液前処置により増強されることを示した。H26年度はその増強機序としてERK1/2リン酸化が関与することを明らかにし、ヒト気道上皮三次元培養でもMUC5AC産生増強することを確認した(K. Kanai and A. Koarai, et al. Respir Investig. 2015. In press.)。以上の結果より、喫煙による酸化ストレス下ではウイルス感染時には気道上皮からの粘液産生が増強し、その機序としてTLR3-EGFR-ERKを介したムチン産生が増強する可能性を示した。本研究では喫煙刺激によりマクロファージや気道上皮においてTLRsの反応性が亢進し、その結果、ウイルス感染時には好中球性炎症および肺構造破壊、気道粘液産生が増強する可能性を示した。TLRsのシグナル経路の解明およびその制御することでCOPDの増悪の制御が可能になると考えられた。
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Respir Investig.
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.resinv.2015.01.007
J Immunol
巻: 192 ページ: 4977-4988
10.4049/jimmunol.1302919.