研究課題/領域番号 |
24591137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
大河原 雄一 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (40333801)
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研究分担者 |
中川西 修 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (50296018)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アレルギー・ぜんそく / 肥満 / インスリン抵抗性 / ガングリオシドGM3 / アディポカイン / 自然免疫 |
研究概要 |
近年、世界的に肥満人口と気管支喘息(以下、喘息)患者数が並行して増加傾向にあり、また、肥満を伴う喘息患者は重症化・難治化することが多数の疫学的調査で明らかになっている。このことから、肥満と喘息の両者の病態にはそれぞれ発症・増悪に関する共通因子の存在が推定されているが、詳細はいまだ不明のままである。現在、両疾患とも社会的・医療経済的に大きな問題であることから、肥満による喘息の発症・重症化・難治化の機序を解明し、有効な対応策や新たな治療法を開発することは重要な課題と言える。最近、肥満で認める慢性持続性炎症がインスリン抵抗性のみならず自然免疫や獲得免疫にも影響を及ぼしていることが明らかにされてきていることから、本研究ではこの肥満における慢性持続性炎症に焦点を絞り、喘息の病態である慢性アレルギー性気道炎症との病態生理学的関連性を詳細に解明し、新たな治療法の開発を目的としている。 平成24年度は、野生型(C57BL/6、6週齢)とインスリン抵抗性を示さないGM3欠損マウスに16週間高脂肪食(60%kcal 脂肪)を与えて作成した食餌性肥満マウスを用いてアレルギー性喘息モデルを作成し、肥満が実際に気道の抗原特異的アレルギー性免疫応答および喘息気道反応を悪化させること、さらに、肥満による喘息増悪には耐糖能の異常とインスリン抵抗性が関与することを明らかにし、学会で発表してきた。 平成25年度は、平成24年度の結果を基に、耐糖能の異常やインスリン抵抗性がどのような機序で喘息を増悪させているかを、慢性炎症(腫瘍壊死因子-αなどのサイトカインの関与)、アディポカイン産生異常(レプチン、アディポカインの関与)、さらに自然免疫の異常(インターロイキン-33などの関与)のレベルで、気管支肺胞洗浄液や肺組織を用いて詳細に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を遂行する上で、今回作成した肥満マウス喘息モデルにおいて実際に耐糖能の異常やインスリン抵抗が生じているかどうかを確認する必要性が生じたため、その検討を行ったことで当初平成24年度に予定していた気管支肺胞洗浄液中の各サイトカインやアディポカインの産生に関する検討がやや遅れる結果となった。しかし、その他はおおむね順調に進んでおり、平成25年度末までには予定の通りの達成度が得られるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
肥満による喘息悪化の機序を解明するため、炎症性サイトカインやアディポカインの産生ならびに自然免疫系の異常について、タンパク、遺伝子発現、組織学的変化のレベルで、ウエスタンブロット法、PCR法、免疫染色法等の手法を用いて検討する。さらに、得られた結果から肥満による喘息悪化に関与していることが明らかとなった物質の作用をその抗体や阻害物質で抑制することで実際に喘息悪化に関与していることを証明し、肥満による難治性喘息の新たな治療法の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に、マウス代、肥満作成のための高脂肪食やサイトカイン蛋白・遺伝子発現測定等に使用する予定であるが、組織学的検討をより定量的に行う必要があるため、デジタル顕微鏡ならびに専用の画像解析ソフトを購入する予定である。
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