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2013 年度 実施状況報告書

肥満による喘息悪化・難治化の病態解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591137
研究機関東北薬科大学

研究代表者

大河原 雄一  東北薬科大学, 薬学部, 教授 (40333801)

研究分担者 中川西 修  東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (50296018)
キーワードアレルギー・ぜんそく / 肥満 / インスリン抵抗性 / ガングリオシドGM3 / アディポカイン / 自然免疫 / 内臓脂肪
研究概要

近年、全世界的に肥満人口と喘息患者数が並行して増加傾向にあり、また、肥満を伴う喘息患者は重症化・難治化することが多数の疫学的調査で明らかになっている。このことから、肥満と喘息の病態には喘息の発症・増悪に関与する共通因子の存在が推測されているが、その詳細はいまだ不明である。現在、両疾患は社会的・医療経済的に大きな問題である為、肥満による喘息の発症・重症化の機序を解明し、有効な対応策や新たな治療法を開発することは重要な課題と言える。最近、肥満で認められる全身性の微弱な慢性持続性炎症がインスリン抵抗性のみならず自然免疫や獲得免疫にも影響を及ぼして多くの疾患の発症や増悪に関与していることが示唆されている。以上のことから、本研究では肥満による慢性持続性炎症に焦点を絞り、喘息の基本病態である慢性アレルギー性気道炎症との病態生理学的関連性を詳細に解明し、新たな治療法の開発を目的としている。
平成24年度では、野生型マウス(C57/BL6)とインスリン抵抗性を示さないガングリシドGM3欠損マウス(SAT-1KOマウス)の肥満マウス喘息モデルを作成して検討した結果、インスリン抵抗性が肥満による喘息増悪に関与していることを明らかにした。
平成25年度では、インスリン抵抗性による喘息増悪の機序を明らかにすることを目的に、まず経口糖負荷試験による耐糖能の異常の検討と腎周囲脂肪組織と精巣上体脂肪組織の重量測定による内臓肥満の評価を行った、その結果、インスリン抵抗性を示さないSAT-1KOマウスは高脂肪食により野生型と同程度の体重増加ならびに内臓肥満を示したが、耐糖能の異常は認められなかった。以上の結果から、体重増加(肥満)や内臓脂肪量の増加(内臓肥満)が喘息増悪に直接関与するのではなく、肥満や内臓脂肪増加で生じたインスリン抵抗性の根底に存在する慢性持続性炎症が喘息増悪に関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの研究結果から、肥満による喘息増悪は単に肥満に伴う内臓脂肪の量的な増加によるものではなく脂肪組織の機能的な変化によることが新たに明らかとなった。従って、その点を早期に明らかにすることが本研究では非常に重要であると考えられたため、内臓脂肪の機能的な変化を検討するための実験系の構築、予備実験、内臓脂肪の検体準備などを新たに追加したために、予定の計画よりやや遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

脂肪組織の肥満による機能的な変化が喘息増悪にどのように関与しているか、特に肥満における慢性持続性炎症をもたらしている自然免疫系の変化がアレルギー性喘息における獲得免疫にどのように影響を及ぼしているかについて焦点を絞って詳細に検討し、その結果から新たな治療のターゲットとなり得る候補を選定する。そしてさらにその中から実際に治療法として有用で臨床応用可能なものを明らかにして行く。

次年度の研究費の使用計画

当初行う予定であったサイトカインやアディポカインのELISAならびにウエスタンブロットによる測定が延期になったこと、ならびに次年度予定の新たな治療法開発の一つとして、炎症性サイトカインをターゲットとした抗体療法の検討、体重減量療法(脂肪除去摘出術、運動療法)の効果判定とその機序解明等のため当該助成金が生じた。
主にサイトカインやアディポカインの測定のためのELISAキット、遺伝子発現の検討のためのPCR用試薬、マウス購入費ならびにマウス飼育料、高脂肪食、各抗体や薬剤、その他実験に必要な器具の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Contribution of CD4+ T cells and dendritic cells to female-dominant antigen-induced T helper type 2 cytokine production by bronchial lymph node cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Okuyama K, Suenaga M, Furuki S, Kawano T, Ohkawara Y, Takayanagi M, Kikuchi T, Ohno I.
    • 雑誌名

      Int Arch Allergy Immunol.

      巻: 161 ページ: 58-65

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Liver hydrolysate assists in the recovery from physical fatigue in a mouse model2013

    • 著者名/発表者名
      Osamu Nakagawasai
    • 雑誌名

      J Pharmacol Sci

      巻: 123 ページ: 328-335

    • 査読あり
  • [学会発表] 免疫寛容に対する精神的ストレスの影響と喘息の病態発症2013

    • 著者名/発表者名
      河野 資、石垣貴裕、酒井百恵、佐久間美佳、冨田さゆみ、宮坂智充、大河原雄一、高柳元明、大野 勲
    • 学会等名
      第63回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      東京 ホテルニューオータニ
    • 年月日
      20131128-20131130
  • [学会発表] 中枢神経系1型および2型ヒスタミン受容体を介した精神的ストレスによるアレルギー性気道炎症の悪化2013

    • 著者名/発表者名
      宮坂智充、奥山香織、河野 資、大河原雄一、高柳元明、大野 勲
    • 学会等名
      第63回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      東京 ホテルニューオータニ
    • 年月日
      20131128-20131130
  • [学会発表] 気管支喘息におけるストレス誘発性気道炎症の悪化に対する中枢性ヒスタミン受容体の2013

    • 著者名/発表者名
      宮坂智充、奥山香織、河野資、大河原雄一、高柳元明、大野 勲
    • 学会等名
      第17回日本ヒスタミン学会
    • 発表場所
      島根県松江市 松江テルサ
    • 年月日
      20131122-20131122
  • [学会発表] Impact of obesity and glucose intolerance on allergic airways inflammation in a murine asthma model.2013

    • 著者名/発表者名
      大河原雄一、大柏芳彰、生川千紗、永福正和、奥山香織、河野 資、高柳元明、井ノ口仁一、大野 勲
    • 学会等名
      The 23rd Congress of Interasma Japan/North Asia
    • 発表場所
      東京都市センターホテル
    • 年月日
      20130628-20130629
  • [学会発表] 内臓肥満と気管支喘息増悪の関係-マウスモデルを用いた検討-2013

    • 著者名/発表者名
      大河原雄一、大柏芳彰、生川千紗、永福正和、奥山香織、河野 資、高柳元明、井ノ口仁一、大野 勲
    • 学会等名
      第25回日本アレルギー学会春季学術大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 会議センター
    • 年月日
      20130511-20130512
  • [学会発表] 中枢性1型ヒスタミン受容体を介した精神的ストレスによる気管支喘息悪化2013

    • 著者名/発表者名
      奥山香織、河野 資、大河原雄一、高柳元明、 大野 勲
    • 学会等名
      第25回日本アレルギー学会春季学術大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 会議センター
    • 年月日
      20130511-20130512
  • [学会発表] 精神的ストレスによる免疫寛容の抑制と喘息発症2013

    • 著者名/発表者名
      河野 資、石垣貴裕、佐久間美佳、冨田さゆみ、奥山香織、大河原雄一、高柳元明、大野 勲
    • 学会等名
      第25回日本アレルギー学会春季学術大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 会議センター
    • 年月日
      20130511-20130512
  • [学会発表] アレルギー性気道炎症の性差におけるCD4+TおよびCD8+T細胞の関与2013

    • 著者名/発表者名
      奥山香織、伊藤ちひろ、河野 資、大河原雄一、菊地利明、高柳元明、大野 勲.
    • 学会等名
      第25回日本アレルギー学会春季学術大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 会議センター
    • 年月日
      20130511-20130512
  • [備考] 東北薬科大学病態生理学教室

    • URL

      http://www.tohoku-pharm.ac.jp/laboratory/byotai/index.html

  • [備考] 東北薬科大学薬理学教室

    • URL

      http://www.tohoku-pharm.ac.jp/laboratory/yakuri/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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