研究課題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙を主因とし気道炎症から進行性の気流閉塞を呈する病態である。また近年では、COPDと気管支喘息(BA)の合併症(ACOS)が重要な臨床表現型として、強調されている。COPDの発症、増悪には、喫煙による酸化ストレスの存在が重要とされる。本研究では、分子細胞表現型と臨床表現型の関連を検討することが課題であり、今回は酸化ストレスを惹起するメカニズムを解明するために、COPD、BA、ACOSにおける抗酸化力の分子細胞レベルの表現型を検討した。当院通院中のCOPD、BA、ACOSと診断されている安定状態の患者59名(各17/30/12)に対し、全身炎症指標(WBC、CRP)、酸化ストレス指標(8OHdG/Cr、OH-1)を検討した。COPD、BA、ACOSの全身炎症指標においては、WBCは各7,200±1,700、5,300±1,100、6,280±1,400 (COPD vs BA、p<0.05)であり、CRPは各0.065±0.06、0.045±0.06、0.120±0.08 (ACOS vs BA、p<0.05)であった。喫煙刺激により肺病変をもつCOPD、ACOSでは喫煙刺激のないBAに比して全身炎症が強いことが示された。一方、酸化ストレス指標においては、8OHdG/Crは酸化ストレス高値群の割合が各77.8%、28.0%、36.4% (COPD vs BA、p<0.02)であり、抗酸化酵素HO-1は各0.09±0.01、0.11±0.03、0.11±0.04 (COPD vs BA、p<0.05)であった。特に、HO-1に関しては、高抗酸化能群の割合が各0.0%、36.0%、41.7%であり、酸化ストレスはCOPD単独群で特に高く、その分子細胞表現型としては、抗酸化能がBA、ACOSに比して極端に低下していることが示された。
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