研究課題/領域番号 |
24591140
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
青柴 和徹 東京医科大学, 医学部, 教授 (60231776)
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / ナフタレン / 喫煙 / 酸化ストレス / DNA障害 |
研究概要 |
COPDの気道病変のモデルとして慢性ナフタレン障害マウスを作製した。すなわち8週齢雄C57BL/6Jマウスに200mg/kg body weightのナフタレンまたはcorn oilを週1回、14週間腹腔内投与したのち、摘出肺を組織学的に検討した。ナフタレン反復投与群では気道上皮の扁平化や剥離、クララ細胞と線毛細胞の減少および上皮の重層化が認められ、上皮化には線維化が観察された。再生中の気道上皮にはKi67陽性の増殖クララ細胞が認められたが、その上皮化にはKi67およびS100陽性の増殖した線維芽細胞が多数観察された。したがってマウスに対する週1回のナフタレン反復投与は気道線維化の動物モデルになると考えられた。 さらにCOPDの全身性炎症のモデルとしてマウスに10日間の喫煙曝露を行った。すなわち曝露システムを用いて8週齢雌C57BL/6Jマウスにタバコの主流煙(820 mg/m3)を1日24本、週5日間、2週間曝露した。対照群には空気曝露を行った。喫煙曝露終了翌日に採血、左肺のBALおよび全身組織(右肺、心臓、肝臓、膵臓、腎臓、腓腹筋、卵巣周囲および後腹膜内臓脂肪、鼠径部および側腹部皮下脂肪)の摘出を行った。喫煙群では自発運動量が低下したが、体重、接餌量、呼吸機能(気道抵抗、1回換気量、ピークフロー)には差が見られなかった。喫煙群ではBAL中の好中球とマクロファージが増加し、肺組織中の炎症細胞(CD45陽性白血球、Mac3陽性マクロファージ)浸潤、酸化ストレス(抗thymidine glycol、抗hydroxy-2-nonenal染色)、DNA障害(抗gH2AX染色)が増加していた。肺以外の組織変化につき引き続き検討中である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性気道ナフタレン障害による気道線維化モデルの作製については研究がほぼ終了した。喫煙の全身性炎症モデルについては組織学的検索を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
喫煙マウスモデルにつき、肺以外の臓器病変の検索を引き続き行う予定である。すなわち心臓、肝臓、膵臓、腎臓、腓腹筋、皮下および内臓脂肪の炎症細胞浸潤、酸化ストレス(thymidine glycol、hydroxy-2-nonenal、protein carbonyls)、抗酸化酵素(GPX、SOD、カタラーゼ)活性、DNA障害(gH2AX)の検討を行っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
端数分を繰り越すため。 次年度使用分と併せてマウス組織切片の免疫染色試薬の購入に使用。
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