研究課題
平成24年度は、マウス肺癌転移モデルにおいて、プロスタサイクリンアナログの経口投与は、ぺリサイトの機能を向上することで、腫瘍血管の成熟を促し、肺転移を抑制していることを示し、追加実験によって、この腫瘍血管の成熟が腫瘍内の低酸素状態を改善している可能性を示した。この研究の成果は、研究グループの大学院生の医学博士学位論文に結びつき、2013年にアメリカ癌学会で発表した。平成25年度は、転移の抑制が腫瘍内低酸素の改善による事を示そうと試みた。この研究の成果は、2014年4月にアメリカ癌学会で発表した。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度は、計画した目標を達成している他、新たな研究課題を見出すことができた。さらに、研究に用いたプロスタサイクリンアナログが腫瘍血管の成熟を通じて肺転移を抑制したことから、同様の機序をもつ化合物が抗癌剤として使用できるポテンシャルを持つことが示され、新しい観点からの抗癌剤の開発に結び付く結果が得られた。新薬の開発に一つの方向性を示すことができ、当初の計画以上に進展していると考えた。平成25年度は、平成24年度の成績を確保するために、低酸素との関連を検討し、一定の知見を得ることができた。
本研究に用いたプロスタサイクリンアナログは、肺癌以外の疾患で既に臨床に使用されている薬剤である。今後は、腫瘍血管の成熟化を通じて、癌転移を抑制するのに最適な薬剤と、その投与法を検討していく必要がある。今後は、この方向に強く研究を推進していく予定である。平成26年度は、研究成果のまとめの予算を計上しているので、成果の発表に努めたい。
年度を越えて納入する試薬等が発生したため。次年度に繰り越して使用する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 2件) 図書 (5件)
日本臨床細胞学会北海道支部会報
巻: 22巻 ページ: 34-37
癌と化学療法
巻: 40巻9号 ページ: 1205-1208
Respiratory Research 14(1)
巻: 14巻1号 ページ: 50(1-8)
10.1186/1465-9921-14-50
Journal of Cardiothoracic Surgery
巻: 8巻1号 ページ: 160
10.1186/1749-8090-8-160
気管支学
巻: 35巻4号 ページ: 367-371
巻: 35巻4号 ページ: 448-449