遺伝子多型の知見などから、抗菌ペプチドDefensin (hBD-3, mBD-14 など) は、その発現が過剰になると病的な炎症を促進することが示唆されていた。本研究で、mBD-14遺伝子欠損マウスの急性肺損傷モデルを作成したところ、本マウスで、その炎症所見が軽減していた。また、気道上皮細胞へhBD-3を投与すると、細胞外ATP濃度が上昇し、その細胞傷害性がATP受容体阻害薬で抑制された。さらに、急性肺損傷モデルマウスにATP受容体阻害薬を投与すると炎症の軽減がみられた。しかし、本モデルでのmBD-14の発現上昇は確認できず、mBD-14が直接的に肺損傷に働くことは否定的であった。
|