研究課題/領域番号 |
24591157
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡部 聡 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50529740)
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研究分担者 |
各務 博 新潟大学, 医歯学系, 講師 (30418686)
吉澤 弘久 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (50282984)
三浦 理 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70420320)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
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キーワード | 腫瘍免疫療法 / 細胞療法 / regulatory T cell |
研究概要 |
本研究の目的は、予後不良進行期肺癌に対する新たな腫瘍免疫療法を確立することである。化学療法、放射線療法後のリンパ球減少状態、ナイーブT細胞は弱いT cell receptor(TCR) 刺激であっても容易にエフェクターT細胞(Teff)に分化可能であることが知られている。申請者らは、化学療法、免疫抑制細胞除去、ナイーブT細胞養子移入を組み合わせることで、進行期坦癌マウスに強力なTeffを誘導し腫瘍成長を抑えることに成功し、報告した。また担癌マウスモデルの系で、放射線治療、化学療法後のリンパ球減少状態ではこれら殺細胞性治療抵抗性の抑制性T細胞が存在し、治療後の腫瘍免疫応答を抑制していることを発見し報告した。 平成24年度は、ナイーブマウス由来のナイーブT細胞をさまざまなサイトカイン環境で培養し、100-1000倍に増殖可能であること、これら刺激後のT細胞はTCRの多様性を保っており、リンパ球減少状態の担癌マウスに移入するとエフェクターT細胞に分化できることを示した。 平成25年度はこれらナイーブT細胞由来のin vitroで増やしたT細胞を腫瘍ワクチン、抑制性T細胞除去、化学療法と組み合わせ、進行期担癌マウスを治癒させることに成功した。また、肺癌症例の末梢血をFACS解析し、化学療法後のリンパ球減少状態であっても抑制性T細胞が残存していることを確認した。今後は化学療法後のリンパ球減少状態を利用したT細胞療法をさらに進める予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの系における担癌宿主の最適なコンディショニングは確立に成功したと考えている。臨床応用に向けて臨床データの蓄積を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
効率的なリンパ球除去を目的とし肺癌に用いられているシクロフォスファミド、シスプラチン、エトポシド、ゲムシタビン、パクリタキセルなどの種々の抗癌剤を検討した。本研究で用いているT細胞療法のコンディショニングとしてはシクロフォスファミドが最適であった。 現在はシクロフォスファミドを含む抗がん剤治療を受けた症例の末梢血を用い、抗腫瘍免疫モニタリングを進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本大学の動物実験施設の改築に伴い、動物実験が制限されたため。 平成26年度は本研究の最終年度であり、アメリカ癌学会、日本癌学会などの学会で発表を予定している。また論文作成も進んでおり、これらへの費用として充足する予定である。
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