研究課題/領域番号 |
24591160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中村 祐太郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (60436962)
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研究分担者 |
須田 隆文 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30291397)
永田 年 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90275024)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 樹状細胞 / ワクチン / 結核症 |
研究概要 |
結核は人類最大の感染症であり,未だ甚大な健康被害を与え続けている.一方樹状細胞(Dendritic Cell:DC)を介した細胞性免疫は抗腫瘍免疫および結核などの感染免疫誘導に必須の生体反応である.申請者らは効率的に優れた細胞性免疫をきたす細胞性免疫誘導型DCワクチンが癌領域において極めて有望なワクチンであることを確認,報告してきた.更に最近,動物モデルにおいて本ワクチンが結核と同じ細胞内寄生菌にも非常に有効であることを確認した.本研究は,細胞免疫誘導型DCワクチンの結核患者血液における免疫応答を解析することにより,ヒトの結核に対する予防及び治療ワクチンとしての研究基盤を確立することが目的である. 上記の背景およびこれまでの研究成果をもとに,本研究は細胞免疫誘導型DCワクチンの有用性を確認するため,直接結核患者の血液を用いてワクチンおよび治療応用に展開するための基盤となる研究を行っている.平成24年度は,結核患者の血液より細胞免疫誘導型DCワクチンおよび通常型DCワクチンを作成し,ワクチンとしての性質を細胞の表面抗原にて確認を行ってきた.具体的には当院および国立病院機構天竜病院の入院中の結核患者から30mlのヘパリン採血を行い,単核球をPercollおよびプラスチック付着法またはCD14+磁気ビーズをにて分離した.GM-CSFとIL-4で6日間培養しDCへと誘導,6日目に細胞性免疫誘導型DCを誘導するため,既に健常者および癌患者での誘導性を確認しているTNF-alpha,IL-1beta, IFN-alpha, IFN-gamma, Poly-I:Cを添加,2日間培養した.一方通常型DCとしてTNF-alpha,PGE2,IL-1-beta, IL-6を添加,同様に2日培養した.培養後フローサイトメトリーにて表面抗原(CD83,CD86)の発現を確認している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在のところ上記のごとく培養方法の確立を行っている.培養中の感染或いは機器の不調等により遅延を来しているが,フローサイトメトリーを用いた解析を継続しており,細胞性免疫誘導型樹状細胞であるTNF-alpha,IL-1beta, IFN-alpha, IFN-gamma, Poly-I:C添加樹状細胞および通常型DCとしてのTNF-alpha,PGE2,IL-1-beta, IL-6添加樹状細胞とも概ね良好な細胞の精製が可能となってきている.
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今後の研究の推進方策 |
今後CD40Lを発現させたJ558細胞(マウス腫瘍細胞)で24時間刺激し,上清を回収しELISA法にてIL-12p70の産生を測定し通常型DCとの比較を行う予定である.また健常者の血液をコントロールとして用い同様に比較する予定である. 尚,先日米国で行われた樹状細胞のKeystoneシンポジウムにて,マウスを用いた樹状細胞ワクチンの発表およびヒトでの樹状細胞の培養法につき検討を行ってきた.前記の検討項目を参考に安定した樹状細胞の培養が可能となれば,予定通り進展させることができる.作成した細胞性免疫誘導型DCワクチンが結核患者において有効に細胞性免疫の誘導がなされているかを確認するため,上記で得られた患者血液からPercollにてリンパ球分画を分離し,更にCD8+T細胞を磁気ビーズにて分離する.その後,抗原(ESAT-6またはCFP-10)とともに細胞性免疫誘導型DCまたは通常型DCと培養し,7日および14日目に再刺激する.また24日目に抗原特異的なIFNgammaの産生をELISPOT法で行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記予定が順調に進めば,Percollを用いた細胞培養,抗原,磁気ビーズ,ELISA,LDHアッセイのキッドを購入予定である. 更に有効性の結果をもって,英文における学会発表を行う予定であり,並行して論文の作成を行っていく予定である.
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