研究課題/領域番号 |
24591164
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 芳弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20273691)
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研究分担者 |
高橋 良 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10546865)
武田 吉人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40452388)
長友 泉 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10570583)
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キーワード | WT1 / 癌免疫 / ペプチドワクチン / ヘルパー / 胸部悪性疾患 |
研究概要 |
我々は、HLA-DPB1*05:01拘束性にWT1-332ヘルパーペプチド(16-mer)を認識するT cell receptor (TCR)を、WT1-332ヘルパーペプチド特異的CD4陽性ヘルパーTリンパ球クローンから遺伝子クローニングし、そのTCRを発現させたCD4陽性Tリンパ球の機能解析を行った。WT1特異的CD4陽性ヘルパーTリンパ球の機能解析をさらに進めるために、新たなWT1-332特異的CD4陽性ヘルパーTリンパ球クローンの樹立、さらに、その細胞からの新たなWT1-332特異的TCRのクローニングの試みを開始した。 Th17細胞は癌免疫において重要な役割を果たしていると考えられ、我々は、癌免疫応答の解析に役立てるために、WT1-332ヘルパーペプチド特異的なTh17細胞クローンを樹立した。そして、そのWT1-332ヘルパーペプチド特異的Th17細胞がどのような機能を発揮するかを樹立したTh17細胞クローンを用いてin vitroで詳細に解析し、WT1-332ヘルパーペプチド特異的Th17細胞はヘルパー活性を示しうることを明らかにした。癌抗原特異的なTh17細胞の働きをさらに詳細に解析するために、新たなWT1-332ヘルパーペプチド特異的Th17細胞クローンの樹立とその機能解析の実験を開始した。 マウスのWT1ヘルパーペプチド(マウスを用いたin vivo実験系に使用できる)を同定する実験を続行し、いくつかの候補ペプチドを得た。 胸部悪性疾患である胸腺腫瘍の手術不能症例に対するWT1ペプチドワクチン治療を、臨床試験として、前年度に引き続き継続的に行った。また、そのワクチン投与患者から定期的に末梢血単核球を採取することにより、癌抗原であるWT1特異的な免疫応答を解析するための検体を蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
癌免疫メカニズムを解明するためのツールとしてのWT1特異的ヘルパーT細胞クローンやWT1特異的Th17細胞クローンを樹立する系を確立することができ、それにより、癌抗原特異的な免疫反応に関する新しい知見を得ることができた。また、その実験系を用いて、癌免疫メカニズムを解析するための新たな研究を構築することが可能になった。さらに、in vivoでの解析に重要なマウス実験系で使用できるマウスWT1特異的ヘルパーペプチドの候補ペプチドを得ることができた。 臨床研究としてのWT1ペプチド癌ワクチン治療を実際に胸部悪性疾患患者に継続的に行うことができた。また、それにより、癌免疫反応を解析するための多くの臨床検体を蓄積することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、癌抗原特異的免疫応答など癌免疫メカニズムの解明につながる基礎研究を推し進めるとともに、実際にWT1ペプチドワクチンを癌患者に投与する臨床試験を継続的に行う。また、その臨床試験から得られた臨床サンプルを免疫学的、あるいは、分子生物学的に詳細に解析し、癌免疫メカニズムの解明に結びつける努力を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時の計画にほぼ沿って実験・研究を進めたが、一部、次年度に次年度と合わせて包括的に行うべき実験・研究が生じ、若干の次年度使用額が生じた。 WT1をモデルとした癌抗原特異的免疫応答などの癌免疫メカニズムの解明につながる基礎研究を推し進めるための試薬・薬品の購入などに用いる。
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